2005年中に出入国管理法と難民認定法違反で強制的に日本からの出国を命じられた外国人は5万人を超え、わずかだが前年より増えたことが4日、法務省入国管理局が公表した資料で分かった。また、05年に日本への上陸を拒否された外国人の数は、前年より減少したが、2年連続で1万人を超えたことも明らかにされた。

 05年中に退去強制手続きを取った外国人は、前年を3.3%上回る5万7172人で、そのうち不法入国者が前年より369人増えて1万1586人だった。不法残留者は4万2254人で、入管法違反者全体の7割以上を占めている。その一方、不法上陸は04年の992人に比べ3割以上少ない690人だった。

 入管法違反者を国別にみると、中国(台湾と香港を除く)が最も多く1万7252人で、全体の3割を占めている。次いでフィリピンの9627人、韓国の8050人の順。入管法違反者の約8割に当たる4万5935人が不法就労に従事しており、ここでも中国(同)が1万4239人と最も多く、以下フィリピン(7378人)、韓国(6514人)と続いている。

 不法就労者の稼働場所は、東京都の1万6612人が最多で、関東地区1都6県での不法就労者が全体の7割以上を占めている反面、全国47都道府県で不法就労者の稼働が確認されており、地方への分散化が進んでいる。

 就労内容は、男性の「工員」が最も多く8447人で、以下「建設作業員」、「その他の労務作業員」の順になっている。女性は、スナックなどで働く「ホステスなど接客」が7061人と最多で、「工員」「ウエイトレスなど給仕」と続く。報酬は、日額5000円−7000円以下が1万8030人と最も多く、次いで7000円−1万円以下が1万4948人となっており、低賃金かの傾向がみられる。

 一方、外国人の上陸拒否数は、過去5年間で最多だった04年の1万955人から233人減ってはいるものの、1万722人と依然として1万人を超えている。上陸拒否者を国籍別にみると、韓国が全体の31.5%を占めており、2位の中国と3位のフィリピンを合わせると、この3国で全体の半分近い割合になっている。【了】

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