厚生労働省は29日、2005年の女性の労働人口や就業者数、雇用者の状況などをまとめた「働く女性の実情」を発表、その中で、55−59歳の「団塊の世代」を含めた45歳以上のいわゆる“中高年女性”の就業実態や就業意識などの調査結果を明らかにした。少子化の一方で、平均寿命の伸長とともに高齢化が進んでおり、年齢別の人口では、若年層より壮年層の方が多いことを鑑(かんが)みれば「中高年女性のパワーに着目する必要がある」と調査は分析している。

 就業者と雇用者に占める45歳以上の中高年層の割合は年々上昇しており、男女雇用機会均等法が施行される前と05年の比較では、就業者で6.8%、雇用者では9.9%も上昇している。全般的な雇用者の割合が上昇する中で、特に中高年層の割合が上昇しており、20年前と比べると、55−59歳層、60−64歳層の上昇幅はそれぞれ28.0%、29.2%と各年齢階級の中でも最大になっている。中高年層の一般的な働き方は、家族従業者の割合が大きく減少、雇用者へとシフトしている。

 45歳以上の女性就業者を職業別にみると、多い順に、「生産工程・労務作業者」303万人(45歳以上の女性就業者に占める割合24.6%)、「事務従事者」276万人(同22.4%)、「保安職業、サービス職業従事者」215万人(同17.5%)、「販売従事者」160万人(同13.0%)、「専門的・技術的職業従事者」146万人(同11.9%)となっている。就業者の割合を職業別にみると、最も多い「農林漁業作業者」(35.8%)に次いで、ホームヘルパーなどの「保安職業、サービス職業従事者」(28.4%)が多い。

 雇用形態では、「パート」の割合が47.2%で、「正社員」の39.9%を大きく上回っている。60歳までは年齢が高くなるにつれて「パート」の割合が上昇している。また、「1−29人」規模で働く割合が39.8%と最も高く、「30−99人」規模を合わせると57.6%になり、中高年女性雇用者の過半数が小規模企業に雇用されている。

 就業理由をみると、「経済的理由」が最も多く26.1%で、「時間に余裕ができた」(16.6%)が続いている。55歳以上では「健康を維持したい」という理由が多くなっている。【了】

 
 ◆労働力人口・・・一定の労働に適する年齢以上の者で労働の意志と能力を有する人の数。労働力調査では、15歳以上人口のうち、就業者と完全失業者を合わせた数。

 ◆就業者・・・何らかの職に就いている者。労働力調査などにおける統計上の用語としては、労働力人口中、完全失業者以外の者をさす。

 ◆雇用者・・・会社、団体、官公庁又は自営業主や個人家庭に雇われて給料、賃金を得ている者。会社、団体の役員も含む。

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