ミランはデンマーク代表MFポールセン(26)をタダ同然で獲得することになった。今季限りでシャルケ04との契約が切れ移籍金なしで自由移籍が可能となるポールセンだが、今季チャンピオンズ・リーグ(以下CL)でのミラン戦でカカーやガットゥーゾとの激しい挑発の末の諍いはもちろん、イタリアでは欧州選手権2004年ポルトガル大会での“トッティつば吐き事件”の敵役として有名であり、スポーツマンシップに反する選手の代表格として知られている。

 ポールセンに対するミランの最初のコンタクトは2月上旬のことだったが、実はこのときすでにスペインのビジャレアルが交渉を進めており、3月10日までにはサインをする手はずになっていた。今季CLで快進撃を続けてきた同クラブでは、折しも今季ユベントスからレンタル移籍しているMFタッキナルディの契約延長見直しが重なり、交渉は硬直化。そこへミランが横やりをいれ、ポールセンが翻意した場合に払うことになっていた違約金を支払うことで急遽両クラブ間の合意に達したのだ。中盤でダイナミックに働くポールセンが獲得できるとなれば、ミランにとって違約金の85万ユーロなどタダ同然。違約金は正式にはポールセンが支払うことになっているが、その金はまちがいなくミランの金庫からのものだ。

 ポールセンは、来季からミランで3年契約の年俸200万ユーロを受け取ることになる。これは彼のキャリアにとってかなり重要な事件だ。なぜなら彼はシャルケ04で80万ユーロを越える年俸はもらっていなかったとされ、ビジャレアルが提示したのは(たとえそれが同クラブ記録となる額だったとしても)150万ユーロだったからだ。これでミランは、ガットゥーゾとアンブロジーニの他にもう一人、中盤で格闘するタイプのMFをチームに置くことになった。きらめくばかりの攻撃陣にさらにターボをかけるべく、ミランは虎をまた一頭抱えることを決めたのだ。