永田寿康衆院議員(民主党の党員資格停止中)は24日午前、衆院懲罰委員会(岩國哲人委員長)で、同議員に偽の送金指示メールを持ち込んだとされる元フリー記者を「西澤孝(ニシザワタカシ)」であると、初めて情報仲介者の氏名を公表した。しかし、国会議員としての進退に関しては「本会議の決定に従いたい」と述べるにとどまり、自ら進んで辞職する意志のないことを明らかにした。

 永田氏は、委員会の質疑の冒頭で岩國委員長の質問に答えて、偽メールを持ち込んだとされる情報仲介者が、雑誌「デュモン」の役員西澤孝氏であることを明かした。永田氏は、22日に行われた同委員会の「身上弁明」で、衆院予算委員会で採り上げたライブドアの堀江貴文前社長からとされる送金指示メールを「根拠のない偽物」と断言。さらに、3000万円送金の事実やライブドア資金が武部幹事長周辺に流れたとする疑惑も「まったくの事実無根」と述べたが、情報仲介者の氏名を公表することは拒んでいた。しかし、今日までの間に、偽物の情報をつかまされたことにより、情報源との間に「友好な信頼関係はない」との結論に達したとして、氏名を公表するに至った理由を語った。

 これに対して、平沢勝栄議員(自民)は、西澤孝氏が代理人の弁護士を通じて同議員に送ってきたとする書類を示し、西澤氏が「永田議員にメールを提供したことは一切なく、当然同議員から金銭の支払いを受けた事実もない」という内容を明らかにした。その上で、平沢氏は「西澤氏はウソをついているのか」と永田氏に迫った。永田氏は「金銭授受に関する部分は事実である」と認めたが、情報仲介者が西澤氏ではないとする主張については、「私の政治生命をかけて申し上げます。これはウソです」と断言した。

 永田氏は、平沢氏の「だれが偽メールを作ったのか」という質問に、「作成者がだれかはいまだに分からない」と答えた。その上で、問題のメールは堀江前社長が発信してライブドア社内で流通したものという説明を西澤氏から受けたことや、同氏のその後の説明に「つじつまが合わないことが多かった」ことなどを明らかにした。「偽メールを作った意図は何だったと思うか」との平沢氏の問いに対して、国会での疑惑追及のために(永田議員)に情報を提供するもので、「西澤氏の自己実現と永田の功績が目的と理解している」と述べた。

 また、平野博文議員(民主)から偽メールを国会で採り上げた動機について問われて、永田氏は「不確実な情報で質問するにはやりすぎた」と反省の意を表し、「功を焦った結果」だと自身の未熟さを認めた。さらに、「二大政党制への国民の期待を裏切った」「慚愧(ざんき)に堪えない痛恨の極み」と現在の心境を述べて、改めて謝罪した。

 その一方で、永田氏は、真相解明のために委員会の場で西澤氏と対決すべきだと迫る大口善徳議員(公明)に対して、「可能であれば真相究明に協力して欲しい」と答えながら、「彼の所在がまったく分からない」と弁明。また、偽メール問題に対する責任を取って「辞めるべきだ」と議員辞職を求める大口氏に答えて、永田氏は「本会議の決定に従いたい」と述べ、自ら進んで議員辞職する意志のないことを明らかにした。

 最後に質問に立った綿貫民輔議員(国民)も「議会の権威、品格、信頼を著しく貶めた永田氏の責任は重大である」として、「懲罰の審査を待つことなく、これ以上生き恥を晒すこともなく、潔く、直ちに自らの出処進退を決断すべきである」と、永田氏に強く辞任を求めた。
 
 懲罰は、◆公開議場における戒告◆公開議場における陳謝◆一定期間の登院停止◆議員の身分を失う「除名」―の4段階で、懲罰委の審査を経て本会議で議決、議長が宣告する。

 懲罰委員会の模様は、テレビで中継されたほか、インターネット上でもストリーミング中継された。【了】

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