突然だが、“スクールカースト”という言葉をご存知だろうか? これは、最近、教育の現場で問題になっている、ある現象のことを表す言葉。古くからインドに深く根付き、いまだにその影響が強く残るといわれている階級制度「カースト制」になぞらえて名付けられている。今、学校にいったい何が起きているのだろう?

 実は今、中学や高校などで、クラスが人気を基準としたグループで分断されているというのだ。インドのカースト制に階級のピラミッドがあるように、スクールカーストにも、人気ピラミッドが存在するという。そのグループ分けは、「1軍、2軍、3軍」「イケメン、フツメン、キモメン」など、各学校やクラスによって様々な名前で呼ばれ、各グループ間の交流がほとんどなくなってしまう場合も多い。このような階層の分け方には、「おもしろい」「カッコいい」などの要素が最も重要だといわれている。

 まぁ、昔からクラスには勉強のできる子とできない子がいて、なんとなくグループが分かれていたりしたものだし、これだけを見てみると、さして深刻な問題ではないように思われる・・・。

 しかし、これが人気階層の中の下層者に対するいじめにつながり、不登校やひきこもり、さらには自殺の原因にまでなっているというのだ。いじめに遭う子どもたちは、階層が低いからという理不尽な理由だけでいじめられるため、対人恐怖症や人間不信に陥るなど、心に残る傷も深い。

 このような問題について、教育現場での対策は・・・?

 「このような現象がスクールカーストととらえられず、よくあるいじめだと認識されてしまう場合が多い。しかも、現在の教育界では学力低下や学級崩壊、学校の防犯対策など、取り組まなければならない課題が山積みです。そこまでなかなか手が回らないのが現状・・・」(児童相談窓口の職員)

 スクールカーストという言葉自体を知らない関係者も多く、もっと現状をよく知るところから始めなければならないようだ。

 大人社会でも富裕層と下流階層の二極化が問題になっているが、学校にまで階層があるなんて、嫌な世の中になったものだ。このような学生時代を過ごした子どもたちが、どんな大人になっていくか、考えただけでも怖くなってくる・・・。(石橋夏江/verb)