23日、国会の代表質問で前原誠司・民主党代表の質問に答える小泉純一郎首相(左)。

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小泉純一郎首相の施政方針演説などに対する各党の代表質問が23日、衆院本会議で始まった。一番手として質問に立った民主党の前原誠司代表は「本来、生活の安心、安全を守る手段として行革があるが、小泉改革は生活保護者らを切り捨ててきた。所得、地域格差は歯止めがかからない」などと小泉改革の「影」について指摘し、批判した。

 前原代表は、自殺者の7年連続で3万人以上での高止まり、生活保護世帯の増加、正社員と非正社員の賃金格差の広がりなどの現状を挙げ、「小泉改革によって、所得格差が拡大し、セーフティネットを破壊した」と糾弾した。

 小泉首相は、所得格差の拡大に対して「高齢者の増加や世帯構造の変化などを考慮すると、統計からは確認できない」と反論。「将来の格差拡大につながる、フリーター、ニート、生活保護受給者らの増加、地方格差には、最新の動きに注意が必要」と述べ、「引き続き、地域、国民の潜在力が発揮され、夢と希望が実現できる活力ある社会の実現へ全力を尽くす」とした。年金については、厚生、共済年金の一元化へ向け、4月末めどに基本方針閣議決定したいとの展望を示した。

 前原代表は「小泉首相の任期中に国の借金が増加した」として、財政再建の進ちょくについてただした。それに対し、小泉首相は、公共事業の4割削減や、国債発行額30兆円以下の実現などの実績を強調。景気回復への認識には、「消費、設備投資は緩やかな回復が続いている」と述べ、不良債権処理や雇用、設備の過剰を解消による成果とした。そして、6月を目標に高齢者社会への財源確保など、歳出歳入一体改革への方向性を示すとした。

 小泉首相は、任期についての質問に、あらためて「今年9月に退任する」と明言。答弁の最後には「前原代表が就任して以来の、民主党の建設的な対案路線は歓迎。ご苦労も多いと思うが、抵抗勢力に負けず、政権政党へ指導力を発揮することを心から期待する」と、前原代表にエールを送る余裕を見せた。【了】

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