30日、恒例の手締めで2005年の取引を終えた東証の大納会。(撮影:常井健一)

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東京証券取引所は30日午前、大納会で2005年の取引を終えた。日経平均株価<1001>の終値は04年末より4622円(40.2%)高い1万6111円43銭となり、1986年以来19年ぶりの高い上昇率を記録した。取引時間中には一時、約5年3カ月ぶりに1万6400円台を回復したが、前日終値より232円77銭(1.42%)安で3日営業日ぶりの反落と、大納会では2002年末以来の安値引けとなった。

 東証では、取引終了時刻の午前11時から大納会の式典が開かれ、市場関係者や一般見学者など約600人が恒例の手締めを行った。400メートル障害の世界選手権銅メダリスト、為末大選手もゲストとして訪れた。西室泰三会長兼社長は、あいさつの冒頭で「システムの不具合で、大変ご迷惑をかけたことを改めてお詫び申し上げる」と、11月、12月と続発したシステム障害に対して陳謝。「障害を乗り越えて疾走する為末選手の姿に、東証の今年、来年の姿をだぶらせたい」と締めくくった。

 05年の東京株式市場は、企業業績の回復にともない、株価の上昇基調が続き、活況を呈した。11月8日の出来高は過去最高の45億株、12月9日には売買代金が4兆円を初めて超えるなど、記録更新ラッシュが続いた1年だった。

 また、12月に起きたみずほ証券によるジェイコム株<2462>の大量誤発注をめぐっては、現金決済という異例の解決法が取られ、東証の鶴島琢夫社長がシステム障害の責任を取って辞任。その後、取引が再開されたジェイコム株には、デイトレーダーなど個人投資家らの注目が集まり、6営業日連続のストップ高に。一時は初値の約3.3倍となる222万円の高値をつけ、株式市場の過熱感を浮き彫りにした。

 企業をめぐっては、2月にライブドア<4753>がニッポン放送株を、10月には楽天<4755>がTBS株<9401>をそれぞれ大量取得するなど、IT企業や投資ファンドの動きが注目を集める一方で、敵対的買収に対する防衛策の必要性が叫ばれた。三菱東京フィナンシャル・グループとUFJホールディングスの統合を始め、大型合併や業界再編も相次ぎ、国内企業のM&A(企業の合併・買収)件数は過去最高となった。【了】

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