「いなほ14号」脱線現場付近

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山形県庄内町のJR羽越線で25日夜に特急「いなほ14号」が脱線、転覆した事故は26日午前、新たに車内から救出された乗客男性の死亡が確認された。山形県警などによると、死者は新潟県の22歳女性と秋田県の51歳女性、男性2人の乗客計4人、負傷者は運転士も含め33人となった。同県警は死亡した男性2人の身元確認を急ぐとともに、残された乗客がいないか確認するため、捜索を続けている。 

 同県警は、現場の天候状況などを考慮しながら現場検証を行う予定。また、国土交通省の航空・鉄道事故調査委員会の調査官らも現地入りし、事故原因を調査している。

 同県警などによると、25日午後7時15分ごろ、秋田発新潟行きのいなほ14号は、最上川にかかる鉄橋「第2最上川橋梁(きょうりょう)」(長さ630メートル)を約260メートル通過した付近で、6両編成の車両すべてが脱線。そのうち前の3両が転覆した。事故当時は時速約100キロで走行していたとみられる。先頭車両の車体が「く」の字に折れ曲がるなど損傷が激しいことと、吹雪による悪天候で、閉じ込められた乗客の捜索は難航した。 

 山形地方気象台によると、現場から北西に約10キロ離れた酒田測候所で、午後7時12分に最大瞬間風速21.6メートルの突風を記録した。事故当時の天候は雨で、雷も鳴っていた。この地方は海岸線に近く、冬には、山形県内でも風が強い地域で、12月に入ってから25日までに、秒速21.6メートルを超す強風を12回記録している。

 JR東日本<9020>は、秒速25メートル以上の風を観測した場合は時速25キロの徐行、秒速30メートル以上で運転中止とする運行規則を定めているが、事故当時はこの規制値以下で、通常運転を行っていた。また、いなほ14号は、大雪の影響で線路のポイントが切り替わらないなどのトラブルにより、予定より約1時間遅れて秋田駅を出発していた。

 同社は事故を受け、「お亡くなりになられた方、お怪我をされた方、さらにはご家族の皆さまに対して深くお詫び申し上げます」とホームページ上に謝罪文を掲載した。【了】

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