衆院国土交通委員会で参考人として答弁するヒューザーの小嶋進社長
姉歯(あねは)建築設計事務所によって、マンションなどの耐震強度が偽装されていた問題で、衆議院国土交通委員会は29日、偽装が明らかになった一連の建築物の建築主であるヒューザーの小嶋(おじま)進社長、施工主である木村建設の木村盛好社長ら6人の参考人質疑を行った。小嶋社長は「一人の方の間違った、偽造の計算書が作られたことが原因の一つ。そして、それを取り巻く設計事務所、都道府県をはじめ、イーホームズ、その他の民間確認機関など、これを知らずして許可を出してしまった」などと弁明した。

 参考人として招致されたのは、ほかに木村建設東京支店の篠塚明支店長、建築主のシノケンの篠原英明社長、建築確認を担当した民間検査機関のイーホームズの藤田東吾社長、同じく建築確認を行った平塚市の渡辺貞雄都市政策部長ら。耐震強度を偽装したとされる姉歯秀次一級建築士は心身の理由から欠席した。

 まず、自らも一級建築士であるという吉田六左エ門議員(自民)が質問に立ち、建築構造計算書の偽造問題に関わった経緯やだれの指図か、などについてただした。木村建設の篠塚支店長は「姉歯建築士に(設計を)依頼した。改ざん、偽造を指図した覚えはない」と否定した。また、鉄筋が足りないことなどを見抜けなかったのか、との問いには、木村社長が「(図面を)疑うことはなかったし、図面通りに作るのが使命と思っている」と答えた。

 小嶋社長に対しては、偽造はだれがリードしたのか、と質問した。小嶋社長は、ディベロッパーが建物のスケルトン(骨組みや外壁)にまで介入してコストダウンを図ったのでは、との吉田氏の指摘を否定し、「確認済み証という、だれもが疑ったことのない公文書に対して、まったく疑うことなく着工しただけ。建築確認という安全性を担保している確認通知書によって、適法に確認を得て、適法に中間検査を経て、適法に販売した」と声を張り上げて答弁した。

 イーホームズの藤田社長には、問題の建築物の耐震強度が著しく低いことを指摘。藤田社長は「私たちの確認作業は適法と信じている」とした上で、「構造計算書をいちいち計算するようにという明文化の規定はない。偽造を見抜けなかったのは、当社だけではなく多くの行政、他の民間機関も同じ」と述べた。さらに、10月27日にヒューザーの小嶋社長から、偽造問題の公表を控えるように圧力をかけられたことを証言した。

 続いて登壇した長妻昭議員(民主)は、参考人の4社と1自治体に自らの責任についてただした。小嶋社長は「私どもは、瑕疵(かし)担保責任ですべての責任を負っている立場。今後の対処方法も含め、すべて私の責任で解決していきたい」と言明した。篠原社長は「(見抜ける)チャンスは1、2回はあったと思う。それを見逃したことには深く反省している」と語った。

 また、篠塚支店長に、姉歯事務所に対して「鉄筋を減らせ」などと要求したか、と質問。篠塚支店長は「そのようなことを言ったかもしれないが、法令順守の範囲の中で言った」と答えた。

 同委では、2氏のほか5議員が登壇した。同委は30日も行われる。【了】

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