17日午前0時に解禁されたボジョレ・ヌーヴォー=東京都千代田区内神田のセブン─イレブン店で(撮影:常井健一)

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フランス産赤ワインの新酒「ボジョレ・ヌーヴォー」が11月17日午前0時に解禁された。フランス食品振興会(ソペクサ)によると、今年は、「100年に一度の出来」と言われた2003年の質や、104万ケース(1ケースは750ミリリットル12本で換算)と過去最高だった04年の量をともにしのぐとされ、対日輸出量が前年比1.1%増の約105万ケースと記録を更新する見通しだ。輸入シェアで約3割を誇る最大手のサントリー広報は、今年の出来について「理想的な天候に恵まれ、色にツヤがあり、果実そのもののフレッシュさが楽しめる完璧な出来」と評価している。

 ボジョレ・ヌーヴォーは、11月の第3木曜日に解禁となるのが慣例だが、時差の関係で日本は世界で最も早く飲める国のひとつでもあり、“初もの”を楽しむような秋の風物詩として定着。バブル期の熱狂的なブームを経て、00年ごろからは家庭用の消費の比率が高くなっている。それらの動きに合わせて、コンビニエンスストアでの販売量が04年で市場全体の17%(ローソン調べ)となるなど、ちまたの売れ筋商品としても成長。各コンビニでは「オリジナル」や「限定」を売り文句に、夏から予約を開始するなど、激戦を展開している。

 コンビニ最大手のセブン─イレブン<3382>は、「昨年は市場シェアの約8%を販売」と強調。今年は前年比10.8%増の82万本(約6万8000ケース)を販売目標に掲げている。店頭での予約も9月1日に開始しており、ブドウの生育状況をレポートした店内据え置きチラシを1カ月ごとに作成して切り替えるなど、積極的な販促活動も展開。反応は「おおむね好調」(同社広報)だという。

 セブンが今年揃えるのは、ボジョレ地方の中でも名高いというクリュ・ボジョレー地区産の原酒を世界的なソムリエとして知られる田崎真也氏が調合した『シャルル・ドラピエ ボジョレ・ヴィラージュ・ヌーヴォー プレステージ・セレクション2005』(輸入元メルシャン、2480円)と、「ボジョレの帝王」こと醸造家のジョルジュ・デュブッフ氏がプロデュースした『ジョルジュ・デュブッフ ボジョレ・ヴィラージュ・ヌーヴォー 2005キュベスペシャル』(輸入元サントリー、2680円)の2品。解禁される17日午前0時には、店頭でも販売開始した。

 ローソン<2651>でも、仏三つ星レストランのオーナーシェフ、ギィ・サヴォワ氏に限定ワインの監修を依頼。ボジョレ・ヴィラージュの畑の良質なブドウを使用したオリジナルワイン『ボジョレ・ヴィラージュ・ヌーヴォー セレクション ギ・サヴォワ』(輸入元サントリー、2680円)を、8月29日から予約を開始している。その他、『ジョルジュ・デュブッフ ボジョレ・ヴィラージュ・ヌーヴォー』(2600円)はじめ、「ジョルジュ・デュブッフ」ブランドの一般商品4点などを店頭に揃え、前年比23%増の37万本(約3万ケース)の販売を見込む。

 一方、ファミリーマート<8028>は、大手各社の中で一番早い8月22日から予約を開始。平均樹齢40年、年間生産4万6000本というワイナリーでつくった『ドメーヌ・ド・リベロール ボジョレ・ヴィラージュ・ヌーヴォー』(輸入元メルシャン、2780円)、年間生産16万本の南ボジョレー地区の小規模ワイナリー産の『ドメーヌ・デ・ヴェルシェール ボジョレ・ヌーヴォー』(輸入元メルシャン、2380円)のオリジナルワイン2品で、販売は前年比15%増をねらう。

 アサヒビール<2502>・お客様生活文化研究所が1800人を対象に行ったネット調査によると、2人に1人が解禁を楽しみにしており、1人平均で2本を購入する意向があることが分かった。飲む理由としては、4割が「気軽にリッチな気分を味わいたい」と答え、近くの酒屋、スーパーマーケットを購入先とするのが合わせて74%と大半を占めた。また、「自宅で飲む」とする人が86%と、ボジョレ・ヌーヴォーを囲んでの家族団らんがトレンドであることが浮き彫りになった。【了】

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