「"ちゃんといい加減に"生きよう」と話す玄田有史助教授の講演には約200人が集まった(撮影:佐谷恭)

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東京大学社会科学研究所の玄田有史助教授は25日、都内で「ニートが大人に問うたこと」というテーマで講演し、集まった約200人の聴衆に「社会全体が余裕を失っている。生真面目になりすぎるのではなく、"ちゃんといい加減に"生きよう」と語った。

 玄田助教授は「何でも理解したいという好奇心の強い子ほど、学校や会社で自分のしていることの意味を考えすぎ、自分を追いつめて苦しんでしまう。そして、何もできなくなる」と語り、ニートは不登校の延長や無気力の象徴ではなく、勉強や仕事からプレッシャーを受け、頑張りすぎることが原因の場合が多いと話した。

 また、「大人でも毎日すべての行動に意味を考えている人などいない。つまらない、しんどいけど、何となく生きていることを子に伝えるべきだ。壁を乗り越えろと檄を飛ばすのではなく、壁の前でうろうろしていれば何とかなると教えるべきだ」と述べた。

 ニートの親に対するアドバイスとして、玄田助教授は「何とかしてやりたいと、心配して子どもに構いすぎるのではなく、子どもを気にかけつつ、自分の人生も充実させようという姿勢こそが子どもに伝わる」と、過干渉と無関心に警告しつつ、親としての態度の重要性を訴えた。

 同講演は勤労青少年協会が「次世代育成支援事業」の中で企画した4回目。同協会は勤労青少年の国際交流事業や、フィランソロピー(社会貢献活動)の普及推進事業を行っている。【了】

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