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iPodがテレビに変わる日

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iPodがテレビに変わる日
東京コンテンツマーケットでPodTVのプレゼンをするメディアエンジン内田社長(写真提供;メディアエンジン)
【PJ 2005年10月25日】− 世界初「iPod」専門ビデオTV局として発表されていた、ビデオキャスティング専門ネットテレビ局が新型iPodの発売と同時に独自制作番組を配信し始めた。このiPod専門テレビ局"PodTV"、法律や規制、視聴率対策などで自由に番組制作できる環境にない地上波テレビ局の番組制作会社が、新たな制作発表の場を求めて開局した。よって、地上波番組を模倣したUSENのネットテレビ局"Gyao"とは、コンテンツの志向性では対極の位置にある。開局したばかりで徹夜が続くというメディアエンジンの内田勉社長に聞いた。

 −様々なネットニュースや週刊誌AERAなどにも記事が載りましたが、反響はどうですか?
 「正直、驚いています。VC(ベンチャーキャピタル)やマスコミからの取材の問い合わせなどが増えています。信用調査会社からも」

 −信用調査会社からとは、周辺も本格的ですね。PodTVは今後もこの会社(メディアエンジン有限会社)で運営していくつもりですか?
 「いや、来年には有限会社も株式会社になるみたいですが、年内には新しく子会社として株式会社の設立を検討しています。まだ発表はできませんが、ファイナンスもした上での計画を考えています」

 −Gyaoとの違いはなんでしょう?
 「Gyaoさんはダウンロードされないストリーム方式なので、権利問題をクリアさせやすいと思うのですが、PodTVはポッドキャスティングですから、ダウンロードされてしまいます。また、GyaoさんはCMを個別に差し替えることができるようですが、PodTVは固定のCMのままです。ただ、PodTVはiPodで外で見るモバイルメディアです。家には無料で地上波のテレビがありますから、それと戦うつもりはありません(笑)」

 −モバイル放送というとモバHOとかもありますが意識されていますか?
 「モバHO自体は衛星ということもあり、モバイルと言っても電車などでの移動中に見るのは難しいと思います。さらに、特殊な受信装置が必要です。こちらは、多くの人が持っているiPodを使うので、操作も簡単で、台数も多い。テレビに飽きたら、音楽を聴いてもらえばいいのです。ちょっとした隙間時間に視聴する新しい視聴スタイルができるのではないでしょうか?新しいiPodは満充電で3時間の動画再生が可能ですし」

 −すると、地上波デジタル放送のワンセグ(移動体向け地上波デジタル放送)がライバルということでしょうか?
 「ワンセグは、当初はサイマル放送(地上波と同じ内容の放送)が基本になると聞いています。それでは、今の携帯テレビとあまり変わらない。携帯の画面だと、テロップとかが見えずらいと思うんですよね。モバイルにはモバイル専用のコンテンツが必要です。さらに、外出先で見るということで長時間のものは見ないでしょう。もちろん、ワンセグも電波状況の良い場所でしか視聴できません。iPodをプレイヤーに使う事のメリットは計り知れないです」

 −広告モデルとしての自信は?
 「iPodは世界で年間2500万台も売れています。我々は少なくとも2割の500万台が日本で売れると仮定しています。さらにそのうち3割がビデオ対応だとすると、150万台のiPodが1年後には、PodTVを見られるようになるはずです。テレビの年間広告予算は2兆円。ラジオが抜かれたように、いずれテレビが別のメディアに抜かれる日も来るのではないでしょうか。仮に、テレビの3パーセントを取ったとしても、600億円です。また、当初の視聴者は、新しいものに敏感で購買意欲旺盛なアーリーアダプターとよばれる人たちです。その人たち向けにCMを打つことで、世の中の消費行動全体に影響を及ぼす事ができるようになると思います」

 −100チャンネルとしていますが、何か根拠はあるのでしょうか?
 「アンケートをとり、人気のある番組から順次番組化していく方針です。仮に視聴率が0.1%程度の番組が100本あると、全体で10%のGRP(グロス・レーティング・ポイント=延べ視聴率)がある事になります。それぞれの番組は一部の人しか見ないかもしれませんが、全体としては、かなりのパワーを持つテレビ局が誕生するのです。10%というのは視聴率三冠王のフジテレビの年間平均視聴率(9.4%)を超える数字です。また、テレビ局としてクオリティ管理も重要です。良いコンテンツは残り、悪いコンテンツには退場してもらう。ダイナミックな100チャンネル体制です。ブログの延長線上にあるポッドキャスティングと差別化するためにもチャンネル数は有限とし、ビデオポッドキャスティングのポータルサイトを目指します」

iPodがテレビに変わる日
 新しいiPodの発売と同時に開局されたことで、PodTVの注目度は開局した本人たちの予想を上回るものになっているようだ。その証拠に開局のリリース初日はアクセス過多によりウェブサーバーがダウンしてしまい、その対応に追われた。現在は、大手CDN(大規模コンテンツデリバリーネットワーク)とも契約し、テレビ局としての準備は万端だという。マスコミだけでなく、ユーザーが自由に書き込める掲示板の書き込みを見ても、その様子はうかがい知ることができる。

 現在は、日替わり番組である「朝トレ」の占いコーナーしかないが、来週にはフルバージョンが公開されるほか、新番組の制作や他の制作会社とのアライアンスなども進んでいるようだ。米国ではPodShowが885万ドルの投資を受けてポッドキャスティングの新しいツールの開発などを行っているが、これだけ注目度が高いと、日本のビデオ版PodShowを十分に狙えるかも知れない。日本にもそろそろ"ポッドキャスティング・バブル"が来るのだろうか。ITベンチャーの地上波テレビ局買収が相次いでいるが、経営者は"IT"ベンチャーとしての本分を忘れてはいないだろうか。彼らが本分を忘れれば、そこにはまた新しいベンチャーが誕生する。それとも、彼らはもう"金融"ベンチャーになってしまったのか。日本がポッドキャスティングのコンテンツで世界をリードできるようになる日を期待したい。【了】

※この記事は、PJ個人の文責によるもので、法人としてのライブドアの見解・意向を示すものではありません。また、PJはライブドアのニュース部門、ライブドア・ニュースとは無関係です。

パブリック・ジャーナリスト 國分 裕之【 神奈川県 】
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