19日、民主党代表として初の党首討論に臨む前原誠司代表(右)と質問に答える小泉純一郎首相。

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衆議院の国家基本政策委員会合同審査会で19日、党首討論が開かれた。民主党の前原誠司代表は日米同盟を皮切りに、対中外交、靖国参拝問題などを小泉純一郎首相に質問。約50分に渡り、議論を交わした。

 前原代表は「冷戦後の日米同盟を堅持していく意義は、アジア・太平洋地域の安定のため」と前置きして、50年先の日米同盟を考えるためには中国が重要なポイントと述べ、「中国は日米同盟に関して両面作戦できている。日米両国の分断を図っている節がある」と指摘、中国についての首相の見解を質した。

 小泉首相は「中国も米国との関係を重視しているが、日本を敵対国とみなすというのは違う。日本と中国の友好関係は重要」と述べ、「日米関係が緊密であればあるほど、友好であればあるほど、日本は諸外国と友好的な関係を維持できると思っている。今後もその方針で外交を進めていかなければならない。断じて日米離間策にのってはいけない」と強調した。

 前原代表も良好な日米関係がアジア・太平洋地域の安定に有効と認めながらも、「日米同盟関係を戦略的にマネージメントしてきていない。いまの政治、外交には戦略性と主体性が欠けている」と批判。その上で、「国内の米軍敷地(基地)の管理権を持つのは当然」「情報はテロ、紛争の未然防止のために一番重要だが、他国、特に米国に依存しているひどい状況。自分で情報収集できずに、他国の言うことを鵜呑みにして、まともな主権国家といえるのか」と主張した。

 これに対し、小泉首相は「日本独自で軍事情報を収集することは現実的に不可能。国民の負担の面もある。だからこそ、米国との関係が重要。日米安保条約の中で、いかに主体性を発揮していくか努力していく」と回答。前原代表はさらに、「自分の情報収集能力、分析能力、評価能力を持つことは、日本の主体的な外交、米国との同盟関係をうまくやっていくためには当たり前のこと」と反論した。

 続けて前原代表は、東シナ海の日中中間線付近での中国のガス田開発を採り上げ、なぜ試掘をして日本の権利を主張しないのかと質問。小泉首相が「意見の立場を乗り越えて、協調していくことが重要。大局的な方針の基に話し合いをして解決していこうと指示している」と答えると、前原代表は「1日1キロ、パイプラインが延びる。既成事実ができ、国際法上はつながる話になる。民主党は操業、開発できるよう、安全確保のための法律(案)を、この国会で出す」と述べ、首相は「法案を出せば真剣に議論する」と答えた。

 また前原代表は、中国のエネルギー問題、公害問題は日本にも大きく関わる問題であり、日本は積極的に技術協力を申し入れるべきと要求。そして、「靖国参拝を強行したことで、日中間の戦略的、包括的対話の道筋が閉ざされた」と首相の考えを質した。
 
 小泉首相は「中国、韓国との問題は靖国だけではない。かつてないほど中国、韓国とは、さまざまな分野で相互依存の関係が深まっている。未来志向で、お互いの協力関係を進めていくということで合意している。日中関係は靖国だけですべて規定するものではない」と述べた。【了】

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