TBS株の大量取得について、記者の質問に答える楽天の三木谷社長(左)と国重副社長(撮影:吉川忠行)

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楽天<4755>の三木谷浩史社長は13日夕、東京都港区の東京全日空ホテルで会見し、東京放送(TBS)<9401>株を12日現在で約15.46%取得したと発表した。市場を通じて約880億円で取得、日本生命保険を抜いて、TBSの新しい筆頭株主になった。三木谷社長は「日本初の世界に通用するメディアグループを作る」として、同日、TBS井上弘社長との会談で共同持株会社化を通じた統合を申し入れたと話した。

 三木谷社長は、放送局との連携を昨年の8月頃から検討していたと明かし、TBSを選択した理由を「いろんな形で勉強をする中で、TBSの可能性は強く、楽天との相性も非常にいい」と強調。株式の大量取得は「ホップ、ステップ、ジャンプといくのであれば資本をからめた提携が必要。真剣に考えているという熱意の表れ」と説明した。

 提案した持株会社化について、同席した国重惇史副社長は「TBSと楽天は違った文化を持ち、それぞれの持ち味がある。それを生かしていきたい。報道の独立性、公共性を担保する観点から、2つ並んで存在するのが一番いい形だと思う」と述べた。村上世彰氏率いる投資ファンド「M&Aコンサルティング」(通称・村上ファンド)からのTBS株買い増しは「現段階では考えていない」と含みを持たせた。

 楽天とTBSの会談は、20分間ほど行われた。国重副社長によると、TBS側は「もうちょっと早く言ってくれればよかった」と話し、提案については「検討する」と答えたという。三木谷社長は、TBSへの対応について会見で「気をつかっている。当然友好的に進めばいいと思う」と配慮を見せ、TBSに先だって会見したことに「正確な情報を出すことが、市場、株主、TBSを含む関係者に対しても必要と判断した」と述べた。

 楽天は◆TBS番組をネット配信、携帯配信するなど視聴者にとって魅力あるコンテンツを提供する◆テレビ広告にネットを連動させて広告の付加価値を高める─など提案し、共同持ち株会社の設立で、3000万人のグループ会員基盤と、TBSの制作力や視聴者・取引先との信頼関係を結合して、「米タイムワーナーなどに対抗できる世界に誇るグループ」(三木谷社長)を目指している。【了】

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