秋も深まり人のぬくもりが恋しい季節となった。それは年をとってもかわらない感覚であろう。

 定年後の余暇時間の増加、核家族化・・・生きがいを見出せない高齢者が、孤独を理由に自殺するケースが年々増えている。中でも顕著に見られるのは男性の自殺だ。妻に先立たれ、生きる目的を失ってしまう、そんな男性が増えてきている。

 そんな、高齢者の方々に救いの手を差し伸べる団体が「生き活きふれあいクラブ」だ。孤独を感じる高齢者に、パートナーとの出会いの場を提供している。

 「最近は40代から50代の方からの相談も増えています。リストラが原因で家族が崩壊してしまい、生きる目的を失ってしまった、つい昨日もそんな男性から相談を受けました」

 そう語るのは、この団体の代表である伊藤むつ子さん。出会いの場を提供する他にも、孤独な高齢者の電話相談も行っている。高齢者の自殺を防止するためには、なによりもパートナーを持つことが有効であるという。

 「家族は生活の原点なんです。ひとりでは外にもでない、料理も作らない、特に高齢で独身の男性の食事は惨たんたるものです。パートナーがいれば外に散歩にも出掛けなるでしょうし、旅行にも行きたくなるでしょう。家族がいるということは生きがいそのものです」

 近くに心を開ける人がいること、支えになってくれる人がいること、これほど心強いことはない。

 生き活きふれあいクラブは20年間もの間活動しており、今までで740組ものカップルを誕生させてきた。新しい結婚生活を手にしたカップルは共同の趣味を持ったり、二人でボランティア活動をしたり、社会に前向きに参加するようになるという。

 「孤独になってしまうと、引きこもってしまうことが多いでしょう。まずは心を健康にしなくてはなりません。心を開ける人と一緒であれば、自然と外にも出るようになりますし、体の健康にもつながるんですね」

 ひきこもりや自殺のニュースは、若い世代のことばかりが目立ってしまう。しかし、この問題は世代を問わず抱えている問題であり、その原因・解決方法には共通する点が多いのではないだろうか。

 心を開ける人がそばにいること。老若男女、これを望まない人間はいないであろう。(文/verb)


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