新宿駅前から歌舞伎町入り口までの公道に、新宿区が期間限定で開業したオープンカフェ(撮影:常井健一)

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新宿の中心のカフェで語ろう─。東京都新宿区(中山弘子区長)は年末まで、「新宿」のイメージアップや賑わい再生のため、大繁華街・歌舞伎町近くの区道を開放してオープンカフェを開いている。同店舗は、JR新宿駅前のある老舗果物店「新宿高野」から歌舞伎町の玄関「さくら通り」までを結ぶ長さ約120メートル、幅約20メートルの歩道に、売店とテーブル、イスを設置し、歩行者に憩いの場を提供している。

 同区道周辺は、不法に駐輪しているバイクや自転車が繁華街に向かう人通りを妨げたり、昼夜問わずキャッチセールスを行う業者が所々に立ち、「危険」「汚い」という悪評が絶えない地域。今回は「多くのお客様を、安全・安心な新宿に迎えるための意思表示」との新宿区の呼びかけに、地元商店街や警察が協力し、カフェの運営に乗り出した。テーブルの周囲には、アート性の高いモニュメントや広告を展示するなど、景観づくりに取り組んだという。

 「周辺の飲食業への影響も懸念したが、景観の改善のためか、隣接する喫茶店でも窓際に座る客が増えたように見える」と早くも手ごたえを感じているのは新宿区・道とみどりの課の青木宏幸課長補佐。「規制で縛っての街の浄化も一定の効果を生むが、『自分たちの街をどうしたいか』という理念を持ちながら工夫することでも賑わいを取り戻したい」と意気込む。地元にある工学院大学の学生ボランティアの協力を得てカフェの利用者にアンケート調査を実施し、治安面や賑わいなど周辺地域への効果を検証。今後はNPOを設立して、幅広い市民の声を取り込んだ、カフェの常設運営も視野に入れている。

 オープンカフェが開業するのは◆9月23日─10月6日◆10月29日─11月13日◆12月17─30日の3期間で、正午から午後8時まで。前半は、同区道に面する高級服飾店「バーニーズ・ニューヨーク」の開店15周年企画とタイアップしてカフェが運営され、ファッションショーも催される。そのほか、大消費地の中心という立地を生かして、携帯音楽プレイヤーの製品紹介や高級車の展示会などを予定している。区は「新宿のど真ん中にあるカフェの空間を積極的に活用してもらって、先進性のある宣伝活動を」(青木課長補佐)と、自社製品の宣伝や販促に、「街の再生」という社会貢献の意味合いを加えたイベントや展示の企画を、希望する企業から期間中も随時募っているという。【了】