【ファンキー通信】日本最古のサイダーは毒水

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 毒水って聞いたことあります? こんな名前じゃ、恐ろしくて飲めませんよね。しかし、実は意外と身近なものだったりするんですよ。

 この毒水は日本で最初のサイダー、「有馬サイダー」に使われていたのです。でもなんでまた、こんな怖い名前がつけられてしまったのでしょうか?

 神戸市にある有馬温泉、そこには誰も近寄ることのない、地獄谷と言われる場所がありました。射場山と愛宕山の谷あいの洞穴、岩場の間から炭酸ガスが噴出し、その穴に入った虫や鳥は、二酸化炭素中毒で死んでしまう。そこにぷくぷくと泡を立てて湧いていた水は、見た目にも奇妙であることから、いつしか毒水と呼ばれました。「毒水を使うと恐ろしいことが起きる」そう言われ続け、毒水は長い間人々から恐れられていたのです。

 しかし、明治6年の兵庫県庁の調査により、毒水は良質な炭酸水であることが判明しました。その後、温泉や土産物にも使われるようになったのです。その一つが「有馬サイダー」。この毒水に香料や甘味を加えたもので、日本で最初のサイダーとなったのです。

 「有馬サイダー」の販売が発端となって、日本でも多くの炭酸飲料水が作られるようになりました。製造機の近代化や大量生産の波に押されて、大正15年に有馬でのサイダー産業は幕を閉じました。

 しかし、平成15年の秋、新しい有馬土産として、有馬サイダーが復活したのです。日本最初のサイダーの復活ということで、どんなものか気になりますよね。このサイダーを販売している吉高屋の方にお話を聞いてみました。

 現在、販売されている有馬サイダーにも毒水はつかわれているのでしょうか?

 「いえ、使われていません。しかし、炭酸の強さは以前のサイダーに劣りません。大手メーカー品とは明らかに違い、強めの炭酸圧で、味もどこか懐かしい味です」

 毒水を飲んでみたかった・・・ちょっと残念な感じもしますね。しかし、忠実に再現されたもので、その炭酸の強さは一度体験してみる価値はあります。飲むと思わず、ゲップが出てしまうほどなんだとか。

瓶もレトロなものを使っており、お土産にはもってこいの有馬サイダー。有馬に立ち寄った際は、毒水を疑似体験してみては?(文/verb)