【ファンキー通信】爪に個人情報が書き込める?

写真拡大

 手や指先1本で個人情報を管理したり、買い物をしたり。SF映画やアニメの世界で見かける夢のような未来社会の光景だけど、近い将来こんなことが現実になるのかもしれない。

 徳島大学工学部の早崎芳夫助教授らが今回、人間の爪のかけらにレーザーを当てデジタル情報を記録する技術を開発したというのだ。ほらほら、なんかSF的な匂いがしてきたでしょ? なんでも5ミリ四方の範囲なら約630キロバイトの情報を記録することができるということです。これまでデジタル情報を爪に書き込むという技術は可能だったということですが、問題となっていたのは、その情報を「読み取る」技術だったとか。詳しい話を直接早崎助教授に伺ってきました。

 「それこそSF映画でよく表現されているように、人間にデジタル情報を組み込めないか、ということを考えたのがこの研究の始まりでした。髪の毛から皮膚に至るまで、あらゆる可能性を検証した結果、辿り着いたのが『爪』だったんです。今回の研究では切った爪のかけらに特殊なレーザーの光を繰り返し当てると、熱で爪の内部のたんぱく質が点状に変化し、発光することが分かったんです。この発見のおかげで、『情報を読み取る』という課題がクリアでき、今回の発表に至りました」(早崎さん)。

 ただ今回発表されたのは、あくまでも切った爪に情報の書き込みができるという技術。人体の爪そのものに書き込むためには、鼓動などで絶えず動く指にどう対応して正確に書き込めるか、という課題をクリアしなければならないとのこと。引き続き研究は続いているという。

 さらに「今後、人体の爪にデジタル情報が書き込めるようになれば、現在、銀行などで本人確認手段として採用されている静脈認証の技術と合わせて、より高いレベルのセキュリティが確保できると思います」(同)とも。

 将来的にはSF映画さながらに、指をカード代わりに指先一本でお買い物、ということもあながち夢ではなさそう!?(文/verb)