日本マクドナルドが13日開設したWEBサイト「食育の時間」(提供:日本マクドナルド広報)

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6月に成立した食育基本法が15日、施行され、棚橋泰文科学技術相が「食育担当相」を兼任し、内閣府に食育推進室を設置した。「食育」とは、家庭や学校、地域での相互学習を通じて食生活に関する適切な知識や判断力を身に付けること。政府は、食にまつわる学習や交流を国民運動として展開し、健全な食生活を推進する一方、安全性など消費者と農林水産業、食品業界の信頼関係の構築や食料自給率の向上を目指している。

 これら食育推進の動きに合わせ、日本マクドナルド<2702>とモスフードサービス<8153>のファストフード大手2社は、それぞれ独自に開発した食育プログラムと学校での食育授業を支援する社会貢献活動を発表した。

 マクドナルドは、グループが世界的に推進している啓発運動“Balanced, Active Lifestyles”(バランスのとれた食生活とアクティブなライフスタイル)など「健康イメージ」を訴えて、食育に“参入”。NPO「企業教育研究会」やNHKエデュケーショナルと連携して、食品から摂取できる栄養やエネルギー、健康管理の大切さ、食の安全性など5テーマに沿って、アニメやゲームで楽しく学ぶWEBサイトを13日に開設。9月には、同サイトが岩手、千葉、愛知、京都、鹿児島の公立小中学校計5校で教材として活用される。

 一方、モスの食育は“地域密着”を強調。6月に本社内に食育推進委員会を設け、学校教育の総合学習、家庭科、社会科の3教科に対応する教材を作成。レタスの部分ごとの味の違いを確かめる実感型プログラムや、近所の店舗に体験入店できる体制も整えた。同社広報室の平山直美チーフリーダーは「あくまで本部は基本のみ作成した。創業時から重視している地域とのコミュニケーションに沿って、同じ地域の店舗と学校がそれぞれの形でお互い学びつつ関係を深めていく」と話す。本社のある新宿区内の小学校や社員の親子を対象に、先行して授業を実施。足もとから食育を広げている。

 外食産業総合調査研究センターによると、外食産業の市場規模は、日本マクドナルドが店舗売上高3000億円を突破した1997年の約29兆円をピークに、昨年の約24兆円まで7年連続で減少傾向にある。ファストフード部門に限ると、昨年は前年比0.4%増加しているが、今年6月までの月次売上速報では、マクドナルド、モスともに前年比90%台後半の水準に甘んじている。特に不振のマクドナルドは、4月から始めた「バリュー戦略」で来客数は順調に推移しているものの、客単価が伸び悩み2005年6月中間期の連結経常利益は前年同期比77%減となり、原価率の高い「100円マック」など激安路線の見直しを迫られている。

 イタリア料理店チェーンのサイゼリヤ<7581>が11日、ファストフード参入を発表、サンドウイッチを基本メニューとしたチェーン展開に意欲を示した。ファストフード市場は、新規参入や、高級─激安の路線の差別化で競争激化の様相が増している。食育導入による企業と顧客を結びつけるチャンネルの拡充は、悩める外食企業を救うか。

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