世界の書籍見本市に参加したいと意気込む「ワーニーカンパニー」代表の伊藤邦子さん(撮影:佐谷恭)

写真拡大

東京都江東区の東京ビッグサイトで10日まで開かれている、日本最大の書籍見本市「東京国際ブックフェア」(東京国際ブックフェア実行委員会・リード エグジビジョン ジャパン主催)には、大手書店や出版社など650社が出店している。その中に、自費出版から始め、友人のネットワークを使って独自の売り込みを図る異色の出版社がある。

 「本屋だけで本を売るのをやめた」。長崎県長崎市の出版社「ワーニーカンパニー」代表の伊藤邦子さんは昨年6月に初めての著書『わかってよ』を自費出版。協力者らと書店に売り込みに行ったが結果は散々だった。「本屋がダメなら」と思いついたのが、書店以外で本を販売すること。電器屋、魚屋、酒屋、理髪店などさまざまなところを「販売店」とし、本を手にとってもらう機会を増やした。

 「いいものを作り、手にとってもらえば売れる」。そう感じた伊藤さんは昨年12月に同社を設立。既存の価値観にとらわれないやり方で本を出版し続けている。同じ内容の本でもサイズや装丁を変えるなど複数のスタイルで出版し、本ごとに曲を作り、ほとんどの本で日本語版と英語版を出している。キャラクターグッズやCD、Tシャツなども作るという。伊藤さんは、アイデアをどんどん実現する同社を『宇宙で一番イケてる会社』だと豪語し、同タイトルの本も出した。

 ワーニーカンパニーは読む人に直接語りかける機会を持とうと、「東京国際ブックフェア」に出店を決めた。「本になるような人生を歩んでみませんか」「長崎から世界へ」と、読者や一緒に働くメンバーを鼓舞する伊藤さんは今後、ドイツで開催される「フランクフルト・ブックフェア」など、世界の書籍見本市に参加したいと意気込んでいる。【了】