「おっぱい」。特別イヤらしい意味があるわけではないけど、男性陣にとっては口にするのを躊躇したくなる言葉のひとつだ。ニヤつきながら「おっぱい!」などと言おうもんなら、女性陣から変態扱いされるのがオチ。しかし、それこそ連呼しても問題ない街があるのだ。

 そこは、山口県光市。光市は、山口県の東南部に位置する人口約5万5千人の小さな地方都市。なぜ、そこなら堂々と「おっぱい」と言えるのか? それは、「おっぱい都市宣言」を採択し、おっぱいに関するさまざまなイベント・啓蒙活動を行っているからなのだ。

 「おっぱい都市宣言」は、胸に抱く親子のふれあいが、お年寄りに手を差し伸べるような若者を育てるという考えから生まれた、母乳による育児を支援するための宣言だ。母乳による育児は単に母と子の問題ではなく、父親、さらには地域が一体となってサポートしていく必要があるというのだ。

 その宣言に基づいて、おっぱい育児10か条やおっぱい相談電話(番号は74−1108「いいおっぱい」)という育児相談サービスなどが設けられている。さらに、おっぱいまつり、おっぱい体操、おっぱいのうたなどもあり、まさに街は「おっぱい」だらけなのだ。

 このような啓蒙活動のおかげなのか、通常は30%台後半(全国平均)という母乳育児率が、光市では約66%とほぼ倍となっているとか。

 実はこの「おっぱい都市宣言」、昨年10月の大和町との合併で失効してしまっている。しかし、光市議会では新「おっぱい都市宣言」を採択する動きが出ているというのだ。議会に決議案が提出され、採択を待っている状態で、おっぱいまつり実行委員会もすでに、採択の要望書を市議会に提出している。

 山口県光市が高らかに「おっぱい都市宣言」をする日も近そうだ。(文/verb)