「市民権なし」と明記されたIDカードを手にロビンギャ民族の状況を説明するゾウミントゥさん(右)。左は社民党の福島みずほ議員。(撮影:佐谷恭)

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20日の「難民の日」にちなみ、社民党の福島みずほ議員と人権団体アムネスティインターナショナル日本などが同日、東京都千代田区の弁護士会館で記者会見を開き、難民の受け入れ状況や先月16日にスタートした改正難民認定制度などについて、外務省法務省と意見交換したと発表した。特にミャンマー(ビルマ)西部のロビンギャ難民の実態について訴え、ロビンギャ難民で6年ほど前に約1年間収容され、後に難民認定されたゾウミントゥさんも出席した。

 アムネスティによると、ロビンギャ民族は1990年頃からミャンマー軍事政権に市民権を実質的に剥奪(はくだつ)され、結婚や移動の自由がなく、強制労働が当たり前のように課されているという。ゾウミントゥさんは「この問題は自然災害でなく人災ゆえ、人間がなんとかできるはず。日本政府の理解と支援で、ルワンダやスーダン、ボヘミアのような悲劇を避けたい」と訴えた。

 会見に同席した「ビルマ弁護団」の弁護士は「オーストラリアではロビンギャであれば難民と認定するような判例が出ている。マレーシアでも状況を鑑み、多くの難民に暫定居住を認めている」と他国の受け入れ体制を説明した後、「(日本の)入国管理局も徐々に状況を理解しつつあるものの、情報が末端まで伝わっていない」と現状を指摘した。

 福島議員によると、法務省は意見交換会で「外務省ともっと意見交換して、風通しをよくしたい。不信感を持たれないよう、透明性を確保したい」と話したという。【了】

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