「喫煙は疾患である」と訴える岐阜大学大学院医学研究科の藤原久義教授

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世界禁煙デー(31日)にちなんだ記念シンポジウム「たばこ規制における保健医療専門家の役割」(厚生労働省主催)が31日、東京都千代田区のサイエンスホールであった。岐阜大学大学院医学研究科の藤原久義教授が「禁煙の普及には医師自らの禁煙が先決」と医療側自身の意識改革の必要性を訴えた。

 循環病態学・呼吸病態学が専門の藤原教授は「喫煙は予防が難しく“疾患”であり、治療が必要」と力説し、たばこへの心理依存やニコチンなど一種の薬物依存が喫煙者の特徴とした。喫煙は、心臓病など循環、呼吸器系の疾患を誘発、それらの病気で世界で年間490万人が死亡しているとのデータを示した。

 藤原教授は、本来なら喫煙の危険性について警鐘を鳴らすべき医療専門家、特に男性医師の喫煙率が日本では27%と、欧米の水準5%に比べ高い現状を受け、「社会の禁煙化に向けて、まず医師自らが率先してたばこを止めなければならない」と強調した。

 未成年者対策として、「子どもたちが簡単にたばこを入手できてしまう」とたばこの自動販売機の撤廃の必要性にも触れた。さらに、臨床系など各学会の対応の遅れが原因で日本での取り組みが遅れたとして、国内の9つの学会で「禁煙ガイドライン」を作成中であることも述べた。

 講演に先立ち、厚生労働省の瀬上清貴大臣官房参事官が、今年2月に発効した保健分野での初の多国間条約「たばこの規制に関する世界保健機関枠組条約」への取り組みについて説明。女子中高生の喫煙率が上昇傾向にあることに懸念を示し、未成年者対策の強化に力を入れていく方針を示した。【了】

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