デスク  おや、先輩。きょうは何ですか?
オジサン このあいだはお前さんに株取引について詳しい説明をしてもらったおかげで、おれもけっこうわかったつもりになったので、早速あっちこっちで説明してきたよ。
 まあ、そのお礼も兼ねて、お前さんの様子を見に来たってわけだ。
 じゃ、もう仕事が終わりますから、山州屋で一杯やりますか。
 いいね、って言いたいところだけど、まあ、待てまて。飲みに行く前にもうひとつ教えてくれよ。
 何ですか?
 例の郵政民営化だ。小泉さんは「今国会での法案化成立を目指す」なんて意気込んでるけど、大丈夫なのかい? それに、年金問題もハッキリしてない今、何だって郵政民営化をやらなきゃならないんだ?
 そんないっぺんにいろいろ言われても……

なぜ、郵政を民営化するのか?

 おっ、そうだな。じゃあ、まず、なんでいま郵政を民営化しなければならないか、という点だけど……。
 実は先日、竹中平蔵大臣が書いた郵政民営化に関する本を買って読んだばかりなんです。
 ほぉ、どんな本?
 『郵政民営化−−「小さな政府」への試金石』(PHP研究所)という本ですが、その冒頭がまさにそんな話なので、それを読めばすぐわかると思いますが……。
 お前さん、あいかわらず冷たい男だね。簡単に、教えてくれてもいいだろ。
 わかりました。一言で言えば、「民間でできることは民間でする」という、小泉構造改革の一環だということです。竹中大臣の言葉を借りれば、「郵便貯金」は金融、「簡易保険」は保険、「郵便事業」は物流で、それぞれ「民間でやっているところがあるでしょ」、ということです。
 「だから、郵政も民営化できる」というわけね。なるほど。たしかに、そういわれてみればそうだが、反対する人もたくさんいるようだし、現在の郵政事業はうまくいっているようなので、何もそんなに急いで民営化しなくてもいいんじゃないか。
 郵政事業が黒字であるからこそ、今やるべきだというのが政府の「郵政民営化準備室」の考えかたのようです。いま、1年に2〜3%ずつ郵便物が減っているので、このままでは、いずれ郵政事業は赤字に転落するかもしれない。そうならないうちに、余裕のあるいまのうちに民間会社にして経営努力をしてもらおうというわけです。
 ただ、小泉さんの任期もあと1年半なので、長年の懸案である「郵政民営化」を1日も早く実現したいという気持ちもあるのかもしれません。
 なるほど。(つづく)

[連載]オジサンとデスクの経済問答1 株取引
[連載]オジサンとデスクの経済問答2 株取引[1の続き]