「ニコ動」は7月5日にバージョンアップされたばかりだ

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   画面いっぱいに入り乱れるコメントが特徴の動画共有サイト「ニコニコ動画(ニコ動)」へのアクセスが減少しているとの指摘が相次いでいる。確かに調査機関のデータを見ると、「横ばい」もしくは「微減」というのが実際のところのようだ。原因は「飽きられてしまったからなのでは」と厳しい指摘をする声もあり、専門家からは「事態を打開するためには『ヲタ心』(オタクの心)をくすぐるものが必要だ」との声も出ている。

08年1月以降は「ほぼ横ばい」か「微減」

   ニコニコ動画は2006年12月にオープン。07年3月に会員制が導入されてからもアクセスは右肩上がりを続け、ユーザー数は08年7月現在で790万人に達している。ところが、ここに来て「伸び悩み」を指摘する声も目につき始めた。

   例えばライブドアに配信している「トレビアンニュース」は、08年7月18日の記事で、ネット上のトラフィックを分析するサイト「Alexa(アレクサ)」による集計結果から、「確かに5月下旬辺りからアクセス数が減っているようである」と分析。その原因として、

「黒字化に走りすぎて必死」
ニコニコ動画単体ではどうしても限界がある」

といった声を紹介している。

   もっともアレクサの数字は不正確だ、という指摘があるのも確かで、これだけで断定するのは危険だ。

   ネット視聴率の調査会社「ネットレイティングス」の調査結果を見ても、08年1月までは、総利用時間は右肩上がりを続けていたが、それ以降は「ほぼ横ばい」「微減」といった状況だ。例えば、08年1月の総視聴時間は150万時間だったのに対して、08年6月の総視聴時間は約117万時間。5か月で2割近く落ち込んでいる計算だ。月によって若干のぶれはあるものの、少なくとも「頭打ち」だとは言えそうだ。

「ヲタ心をくすぐるものが、出てきていない」

   ジャーナリストの井上トシユキさんは、こんな状況に対して

「当初はユーザーの興味をそそったサービスだったのですが、もう、飽きられてしまったのでは」

と感想を漏らす。

「最近、『ニコ動』ユーザーからは『コメントが多く、目がチカチカして見づらい』という声が増えています。『(コメントが動画上に表示されない)ユーチューブで静かに見たい』という人もいるようです」

   また、飽きられている原因については、「次のバージョンが出てこないから」と分析。

   だが、「ニコ動」は、7月5日にバージョンアップされ、コミュニティー機能が実装されたばかり。さらに、8月中旬には創作活動を支援するための著作物共有サイト「ニコニ・コモンズ」がオープンすることになっている。それでも、井上さんは

「『ヲタ心』(オタクの心)をくすぐるものが、出てきていない」

と話す。そして、「ヲタ心」をくすぐるための鍵は、やはりユーザーの参加を促すための仕組み作りにあると訴える。

「ユーザーは、例えば『初音ミク』みたいな、自分で音声や動画を創りやすくなる仕組みが登場することを望んでいます。『ニコ動』が出現したとき、ネットユーザーに大きな衝撃を与えました。『ここまで出来るんだ!』『こんなことも出来るの?!』と、『ヲタ心』をくすぐった。そういう仕組みが、もう一度必要とされているんです」

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