70年代という季節には、特有の「挫折感」があった。時代の退廃的なムードは「女優の気質」にも影響したが、唯一、こうした風潮に背を向けたのが島田陽子だ。あくまで背筋を伸ばした演技を第一とし、マドンナとして欠かせない存在だった。もっとも、ただの清純派ではない一面は、たびたび世間を騒がせた──。 わずか1秒にも満たないシーンだった。愛人である天才ピアニスト・和賀英良(加藤剛)との情事を終えたホステスの理