帝洋大の豊沼奈江は総合商社の鈴木商事が第一志望だった。七つの海を駆け巡る商社マンになりたい。メーカーで海外勤務の多かった父親の影響もあって、子どもの頃からそう考えていた。帰国子女ということもあり、大学入試は失敗。元々、数学が苦手な上に、国語の勉強が致命的に遅れていたためだ。結局、偏差値50の帝洋大に入学した。それでも大学自体に大きな不満はない。図書館は充実していたし、先生も熱心な人が多かった