先日、私は今までにない特別の思いを持って、歯医者さんへ向かった。インプラントを埋める手術であった。「はい、柴田さん。お口をゆすいで、では今から麻酔のお注射をしますから、ちくっとしますね」と歯科医の先生。私は努めて肩の力を抜く。だが、気がつけば右手の親指に人差し指のつめをたて、自らの指の痛みを作りながら、注射を待っていた。指の痛みに勝る痛みは感じない。かすかに歯肉に刺さる痛みを感じ、麻酔薬が注入