「棋士の感謝」というテーマを定めた時、最初に頭に浮かんだのが佐藤康光だった。タイトル戦の前夜祭、各種イベントに記者会見。壇上の“佐藤会長”は平身低頭、同席者が恐縮してしまうほど全身で感謝の気持ちを表わす。「この企画にはぴったりだ!」。たしかにそう思っていた。しかし、その考えは下準備の段階で粉砕されることになる。過去の発言に焦点を絞ると、佐藤が公の場で特定の個人や団体に謝意を向けることはない。例えば