側用人武士道 幼少より武家道徳に親しんできたと自称する新渡戸稲造は、武家とはいえ、じつは盛岡藩側用人の子である。戦後、武士道の典型であるかのように挙げられる『葉隠』を記した山本常朝も、稚児小姓上がりの御書物役。まして、内村鑑三は、江戸詰長屋の下級武士。井上リストにおいても、側用人や、その予備軍である在野学者が多い。彼らは藩主の寵愛で抜擢登用される身の上であって、一般的な意味での正規の世襲の武家では