20代のアルバイト6人が労働組合に加入し、全アルバイト約1万人の残業代を法律どおりに是正させた──。こんな経験をした男性が16日夜、東京・青山で開かれた若年労働者らの集会で体験を話し、会社側に適法な賃金を支払わせる必要性を訴えた。

 体験を訴えたのは、ゼンショー(本社・東京都港区、小川賢太郎社長)が経営する「すき家」にアルバイトとして勤務する男性(28)。

 男性は2006年7月に東京・渋谷の店舗で勤務していた時に解雇され、労働組合「首都圏青年ユニオン」に駆け込んだ。「首都圏青年ユニオン」は直ちに団体交渉の手続きを取り、解雇を撤回させた。

 一方で、団体交渉では労働基準法で定められた残業代割増分が未払いだった問題も追及。過去2年分の未払い分を支払わせた。「すき家」で働くアルバイト(約1万人)にも、割増分が支払われるようになったという。

 この男性は「首都圏青年ユニオン」に相談するまで残業代に関する知識がなかったといい、割増分未払いについて「不満を感じていなかった。事前に法律を勉強しておくことが大事だと感じた」と話した。その上で「割増分は支払われて当然のもの。支払われなかった場合、そのお金はどこに消えるのかと思う」と会社側に対する憤りも見せた。

 「首都圏青年ユニオン」に相談したことで「会社のおかしさに気づかせてくれたことが大きかった」ともいい、「団体交渉は効果てきめんだった。(直接は)知らない組合員も交渉に参加してくれたことはありがたかった」と振り返った。

 労働基準法は、原則として会社は労働者を1日8時間、週に40時間以上働かせてはならないと定めている。労働者の過半数で組織する労働組合(または過半数の労働者の代表)との協定があり、8時間以上働かせる場合は最低25%、午後10時-午前5時の時間帯であれば最低50%の割増賃金となる。法定休日に出社した場合は最低35%、残業でなくても深夜の時間帯に及んだ場合は最低60%の割増賃金が支払われなければならない。

 東京労働局によると、作業準備や移動、待機の時間も労働時間に入るとする厚生労働省の通達や裁判所の判例がある。また、組合の有無に関わらず1人でも匿名で労働基準監督署に訴えることもでき、事実確認の上、会社に是正の指導が入る。経営者が従わない場合は、刑事罰が課せられるという。

 「首都圏青年ユニオン」の河添誠書記長は、残業代の問題に悩む人に対して「法律で決まっていることなので、きちっと支払わせなければならない。そのために声を上げてほしい」と呼びかけている。【了】

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