「最近の若者は〜」こんなセリフを聞くと、「やれやれオジサンの愚痴が始まったよ」なんてついつい思ってしまいます。やれ、気が利かないだの、つきあいが悪いだの、「若者は〜」のあとに続く言葉ってなんだか批判的なことが多いような気が。普通に蔓延しているこのセリフですが、そもそも誰が「最近の若者は〜」って最初に言い出したの!?

 そこで思い出したのが、古代ギリシアの哲学者プラトンの言葉。プラトンは次のような記述を残しています。「最近の若者は 目上の者を尊敬せず 親に反抗 法律は無視 妄想にふけって 道徳心のかけらもない このままだとどうなる?」

 となると、言いだしっぺの最有力候補はプラトン ?いやいや、もっと古くからこのセリフは誕生していたのです。なんと、紀元前1680年頃に誕生したヒッタイト王国(現代のトルコの位置にあたる)の粘土板で作られた書簡に、「最近の若者は・・・」といった若者の現状を嘆く言葉が記述されているとのこと。その後エジプトで発見され、現在はトルコのアンカラにあるアナトリア博物館に所蔵されているそう。

 どうやら、最初の言いだしっぺはヒッタイト人のようです。書簡にグチを書くぐらいなのだから、若者を批判するような歴史的背景が当時あったのでは? そこで、中近東の考古学を研究しているKさんにお話を聞いてみました!

 「とくに若者批判があったということは聞いたことないですね〜。ただ、ヒッタイト王国は歴史上鉄器の量産に初めて成功し、4世紀に渡って国家機密にして勢力を強めていったという歴史があります。それを考えると武器を作る者同志の間で、なんかしらの感情のもつれはあったのではないのでしょうかねぇ(笑)」(考古学研究者Kさん)

 当時のヒッタイト王国は、強大な戦力で大国にのし上がっていくと同時に、文明や宗教、政治など様々な文化の誕生で混乱していたという。そんな大きな変化の中で、批判的な感情を持つということは、はるか昔の古代人も現代に生きる私たちもそう変わらない、ということなのでしょうか?

 「最近の若者は〜」、この言葉にこんなに古い歴史があったなんて・・・ちょっとビックリです。(坂井あやの/verb)