ガソリンスタンドは、1994年のピーク時には約6万件であったが、現在は約3万件と半減し、さらに減り続けている。要因は行政の政策などいろいろあるのだが、『車の燃費が良くなった』こと、『車の走行距離が少なくなった』こと、『車の台数が激減した』ことなどが考えられている。『景気の後退』と『安全性を高める』政策などが背景にあり、カーシェアやEVなどが普及してくると、数が減りすぎて、もはや遠くに出かけることが出来なくなることや、夜間の走行が難しくなったりすることが懸念される。山間部では、ガソリンスタンドまでの距離が実用にならないほど遠くになってきている。また、コストダウンなどの狙いからセルフスタンドが増えているが、すでに約1万件、ガソリンスタンド全体の1/3ほどになってきている。

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 一方で、EVの急速充電スタンドが、ガソリンスタンドに代わる役割を担っているのだが、約7,000件と増えてはいても、バッテリー性能との関係で、ガソリンスタンドに替われるまでには役に立たない。それは、EVの航続距離が短く、約30kmごとに充電スタンドが必要との試算もある。また、1回の充電時間が40分で80%充電と時間がかかりすぎ、台数が増えれば実用にならない事態が起こる。

 自宅で夜間充電を行って限られた範囲で走行する使い方が、かえってガソリンスタンドが閉鎖してしまった地域でEVを普及させるかもしれない。それでも、バッテリーの寿命が5年ほどに限られていては実用に不足であり、ガソリン車にとって代わるには、中古価格などの問題が難問だ。

 現在、急速に実用化を目指している「全固体電池」が実用化されると、EVの実用性能は一気に上がることとなり、価格次第で普及が進むかもしれない。しかし、その一方で、ガソリンスタンドの閉鎖はさらに加速することが考えられ、EV・PHEVとガソリン車・HVとの入れ替わり時の混乱がないように考えてほしいものだ。幸いEVは家庭で充電できるメリットがあり、全固体電池などで電池の性能が大幅に上がれば、一気にガソリン車にとって代われる可能性がある。急速充電スタンドも、設置費用がガソリンスタンドに比べて格安であるので、急速に普及するであろう。コンビニとのコラボが、日本では大きな可能性を示している。

 ガソリンスタンド難民の救済には、EVが役に立つ可能性が高く、意外に地方のほうが、普及が速いのではと考えられる。現在は高価なEVの価格設定がカギとなるだろう。都市部ではカーシェアが広がると思われるが、地方はシェアの利便性も持てず、やはり安価な車両開発と、何らかの補助が有効であろう。

 採算が難しくなったガソリンスタンドの維持は現実味がなく、国内でも全固体電池の実用化と共に、急速にガソリンスタンドの閉鎖と、EVの普及が進むかもしれない。