「アニメの世界が現実に!」と話題になっている「ロンギヌスの槍を月に刺すプロジェクト」だが、実現すれば日本にテロの危機が迫る可能性まで?

プロジェクトは、チタン合金製(予定)の「ロンギヌスの槍」をロケットで月まで運んで放出し、月に刺すというもの。アニメ『新世紀エヴァンゲリオン』(以下、エヴァ)第22話のエピソードを再現したもので、エヴァファンなら誰もが覚えている名シーンだ。

ファンでなくとも、宇宙という存在が近づくような夢のある話。プロジェクト発表時から「月にロンギヌスの槍を刺すってすごいロマン」など感動の声も多かった。

だが、先月30日にあった発表会見で、月に運ぶ槍のサイズが長さ24cmということが判明するとネット上で落胆、唖然の声が殺到し騒然。(※参照 http://wpb.shueisha.co.jp/2015/01/31/42852/ )

しかし、それ以上にブーイングだったのが「月に異物を刺すなんて」「ゴミを置きに行くとしか思えない」など環境破壊という観点からの非難だった。

これに対し3日、運営側に話を聞いたところ、「SNSなどでそうした意見を目にしています。当然、そういったものもあると予測していました。しかし、『やってはいけない』という法律や規律は現状ではありません。許可を得るような団体なども存在していませんし。このまま進める予定です」とのコメント。この時点では、想定内ということで進行するつもりだったようだ。

ところが、状況が変わったのは翌日4日。ブログ「文系宇宙工学研究所」が掲載した「『ロンギヌスの槍を月に刺すプロジェクト』に反対します」という記事が拡散され、ネットニュースでも取り上げられてからのこと。

同ブログでは、宗教上の理由から反対を宣言。現実の世界では「ロンギヌスの槍」は、キリスト教の聖遺物として崇敬されるもの。そして月はイスラム教を筆頭に様々な宗教上、神聖なものとされているため、そこにキリスト教のシンボリックなアイテムを刺す行為に問題があるというのだ。

前日までプロジェクトを敢行するとしていた運営側に再度取材すると、一転、「あくまで宗教は関係なくアニメコンテンツのなかのモノという認識で始めているものなのですが、現在、委員会でも検討しています。このまま続けるかどうかは現段階では明言できない」との見解を示した。

圧倒的人気と根強いファンに支えられるエヴァゆえの波紋といえ、ここまでの大騒動となるとは運営サイドも想定外だったようだが…。

エヴァファンとして知られる経済アナリストの森永卓郎氏も同プロジェクトに対しては「いちファンとしては嬉しい企画だけど、正直わからない。予測がつかないので怖いなという印象」だという。

「今回の『ロンギヌスの槍』は、エヴァの世界のものだけれど、僕が知る海外のオタクのなかでは、エヴァはあまり浸透していません。そうしたなかで、キリスト教のイメージが結びつくものを他宗教で神聖視される月に刺す行為は、誤解されてしまうリスクがあるのではと心配です。このプロジェクトの話だけでは済まなくなるかもしれません。ましてやイスラム国にとって日本は『十字軍に参加した』と判断されていますしね」

たしかに最悪を想定するならば、敵国と認定されてしまった今、イスラム国などテロ組織をも刺激しかねない。また、日本及び日本人を攻撃する口実を与えるともいえる。

「あまり焦ってやらないほうがいいのではないかと思います。いわれのない批判をされないためにも、運営側は事前に大丈夫なのかしっかりリサーチすべきでしたね。そこをはっきりさせて納得できれば、僕も応援します!」(森永氏)

いまだかつてない壮大なプロジェクトだが、日本を危険に巻き込むことなく平和に実現できる道は見つかるだろうか?

(取材・文・撮影/週プレNEWS編集部)