マイクロソフトが現在プレビュー版として提供中の、ネット通話ソフトSkypeの通訳/翻訳機能Skype Translatorにおける日本語対応が、2015年中に予定されていることがわかりました。これは1月29日に開催されたマイクロソフトの技術方針説明会『2015 Technology Update』において、日本マイクロソフトの最高技術責任者(CTO)である加治佐俊一氏が紹介したもの。ただし、Skype Translatorは音声翻訳とテキスト翻訳がありますが、現時点でも音声通訳は英語とスペイン語に限定されていることから、日本語はテキスト翻訳からの対応になると想定されます。説明会のテーマはマイクロソフト技術開発に関して、日本マイクロソフトのCTO(最高技術責任者)であり、マイクロソフト ディベロップメントの社長も兼ねる加治佐氏が2014年の動向および2015年の方針を解説するというものですが、終盤に東京オリンピックを意識した『2020年に向けた技術』というまとめを紹介。Skype Translatorの日本語対応は、その中の流れで紹介されました。さて、恒例となっている研究事例の紹介としては、第二世代(Xbox One世代)Kinectの活用を中心としたもの。とくにデプス(深度)センサーの検知精度を向上させる点がテーマとして挙げられています。まずはKinectで手の指や形状を三次元的に検知する『Handpose』、Kinectとビデオプロジェクターを連携させて、部屋内でプロジェクションマッピングベースのAR体験を可能にする『RoomAlive』という2事例をビデオで紹介。これらに関しては動画をご覧ください。

さらに会場では、Kinectとタッチパネルディスプレイを使い、対面にいるような感覚で(従来よりも違和感が少なく)電子会議を可能にする『ViiBoard』がデモされました。なお、ひょっとしたらと期待されたHololensに関しては、今後の重要技術としての紹介はあったものの、さすがに時期尚早か、具体的な話には触れられませんでした。またアメリカでプレビュー中となっている、Webベースのプレゼンテーションアプリ『Sway』についてもデモを交えて紹介。とくにiPhone版は日本で開発されていることもあり、重点的にアピールされました。なお、全体の方向性としては、昨今のマイクロソフトが全社的なテーマとしている「モバイルファースト、クラウドファースト」をはじめとする、デバイスとクラウド重視の戦略に合わせたもの。具体的には、マルチプラットフォームに向けた開発ツールの推進やMicrosoft Azureを中心とするクラウドへの注力をさらに強める点、昨今注力しているオープンソースとの連携をさらに広げる点、機械学習(いわゆるマシンラーニング)の研究をさらに重視する点を紹介。デバイス側ではKinectやHololensをはじめとする、NUI(ナチュラルインターフェイス)への注力などをアピールしています。このように2015年のマイクロソフトの技術開発方針は、ともすれば目立った点がなさそうにも見えますが、一方でここ数年進めてきた地に足の付いた戦略を推し進める安定したものであろうことも伺えます。製品としてはWindows 10をはじめ、ここ数年の成果が目立った形で出てくるタイミングだけに、2020年に向けた次の仕込みを着々と進めている印象も受けました。