最近、コンビニのカップ麺売り場に向かうと、ふと「何か足りない…」と寂しくなる瞬間がないだろうか? そう、白いレトロなパッケージのあいつがいないのだ。

ぺヤングが食べられなくなって早1ヵ月。あの懐かしいソース味が食べたくて仕方ない“ぺヤングロス”に悩む人々も増加中、その存在の大きさがうかがい知れる。

しかし、どうしてそんなにぺヤングが食べたくなってしまうのか? ほかのカップ焼きそばではダメなのか?

その理由は、圧倒的な人気でも裏付けられている。関東圏に住む20代、30代男性200人に好きなカップ焼きそばを聞いたところ、並みいる強豪を抑えて「ぺヤング」(64人)が堂々の1位! 続く「一平ちゃん(夜店の焼そば)」は41人、「U.F.O.」は37人と、大差をつけての首位だ。

自主回収後のアンケートにもかかわらず、ここまで根強く愛される理由って一体なんなの? インスタント麺研究家の大山即席斎(おおやまそくせきさい)氏に聞いてみた。

「これは大前提の話になるんですが、インスタント麺の購買者は圧倒的に保守派が多いんです。毎年毎年どれだけ新商品が出ても、一番売れているカップラーメンはカップヌードル。袋麺ならサッポロ一番。インスタント麺が愛される重要な要素は『変わらないおいしさ』なんです。ぺヤングはまさにその王道をいくパターンですね」なるほど。確かにアンケートの結果を見ても、ぺヤングを選ぶ理由の1位は「昔から慣れ親しんだ味だから」だった。でも…ぺヤングって本当に40年近く、まったく味が変わってないの?

「気づかないほどのマイナーチェンジはしているかもしれませんが、私の知る限り、そして食べている限りでは発売当初から、ソースも麺もかやくの内容も変わっていません!

昔懐かしい平らな細麺に、ウスターソースのようなスパイシーなソース。いい意味で、媚(こび)を売らず、わが道をいくスタイルです。逆にライバルのU.F.O.は常にトレンドを求め変化しています。今はもっちりした太麺、ソースは甘くて濃厚なスタイルになっていますね」

普段はそんなに意識しないが、それぞれのカップ焼きそばのスタイルはかなり異なっているようだ。

アンケート上位3つで比べると、ペヤングはウスターソースに近いスパイシー味、U.F.O.はとろみも強い、そして一平ちゃんは甘みがありながらもサラッとしているのが特徴だ。

麺も平細麺(ペヤング)、丸太麺(U.F.O.)、一平ちゃん(丸細麺)と、それぞれ違う。たかがカップ焼きそば、されどカップ焼きそば。他では替えられない個性があるからこそ、人は“ペヤングロス”に悩まされるのだ。

■週刊プレイボーイ5号(1月19日発売)「復活ぺヤングを100倍おいしく食べる豆知識10」より