風光明媚なドライブルートとして有名な「MAZDAターンパイク箱根」。先月中旬、紅葉シーズン真っ盛りの最中、とんでもないイベントが開催されていた。




この日行われた「MHヒルクライム」は、日本では初となる公道を使った高速ヒルクライム。モーターカルチャー誌の「モーターヘッド」がなんと13.782kmに及ぶターンパイク箱根の小田原本線を丸1日通行止め(占有)にして開催したのだ。国土交通省の許認可を得て、道路交通法は一切適用外。通常は対面通行となる2車線分の道幅をフルに跨いだ走行を可能とし、もちろん速度は無制限!

「MHヒルクライム」の2日前にスーパーGTの最終戦に出走した、現役バリバリのGT300マシンがなぜか箱根の山にいる。その横にはD1GPを戦う1000psのドリフトマシン。他にもラリーカー、ニュルブルクリンク24時間レース参戦車、往年のル・マンを戦ったクラシックレーサー、そして国内最高峰のチューンドマシンの姿も。

MAZDAターンパイク箱根は有料道路とはいえれっきとした「公道」である。なぜ、こんな場所にこれほどバラエティに富んだ顔ぶれの「スピードマシン」たちが勢揃いしているのだろうか? そもそもレーシングカーやドリフトマシンにはナンバーすら付いていないじゃないか。

4.5km地点の御所ノ入パーキングに設置されたスタート地点から12km地点のゴールまでの標高差516m、距離7.5kmのハイスピードワインディングを、冒頭のスピードマシンたちが全開で駆け上がっていく。

ドライバーも2014年のGT300チャンピオン、谷口信輝、2004年ル・マン総合優勝の荒聖治、2007年、2013年のD1チャンピオンの川畑真人、2005年、2007年のPCWRCチャンピオンの新井敏弘、ニュルブルクリンク24時間レースに参戦するSTIチームの監督にして元スバルのトップガン(開発ドライバー)の辰己英治と豪華な面々が務める。



極めつけは、地上から100mの高さにある「ほおずき橋」での全開ドリフト。マシンは1000馬力を誇るTOYO TRUST RACINGのグレッディR35RX。5速全開200km/hオーバーでの超高速ドリフト。目一杯のタイヤスモークを巻き上げていくその光景には、「ここが日本の公道か!?」と思わず目を疑かったという。

今回参加したドライバーは皆、最初は「これは危険過ぎる」と難色を示した部分もあったが、走行後は誰もが「楽しかった」「新たな発見があった」と笑顔になっていたのがとても印象的だった。


■クルマを愛しスピードを愛する以上、死に直結するリスクも含め、その先に広がる様々な可能性まで正しく伝えたかった。



今回のイベントについて「モーターヘッド」誌の編集長・高田興平氏はこう語る。

「日本には素晴らしい道がある。そして最高のスピードマシンとドライバーも揃っている。現代の価値観・倫理観では公道でスピードと向き合うことが難しくなった今、ならばきちんと手続きを踏んで公道を占有し、安全対策も図った上で、改めて公道で正しくスピードと向き合ってみたいと思った。ヨーロッパのようにスピードを文化として捉える事が、日本にも必要だと思った。

クルマを愛し、スピードを愛する以上、それをより多くの人に死に直結するリスクも含め、正しく知ってもらうこと、その先に広がる様々な可能性までを、まずは頂点に位置するスピードマシンとドライバーに全開で走ってもらうことで、正しく伝えたかった。

これまで誰もが『ターンパイクを占有して全開走行なんて無理!』と、トライする前に諦めてしまっていた部分を、ボクはダメもとでいいからやってみようとアクションを起こしてみた。そしたら、思っていたよりも早くトビラが開いた。こんなリスキーなことを許してくれた箱根ターンパイク株式会社には心から感謝と敬意を表したい。

箱根でのスピードの迫力を知ってもらうためにスペシャルPVを制作し、よりリアルなレポートやタイム・車速・最大Gなどのデータは12/26発売のモーターヘッド14号誌面で50ページに渡って特集を掲載した。2015年以降も第2回、第3回と発展させていきたい。欧米のように、サーキット以外の、より普段の生活に繋がった道でも質の高いスピードと向き合い触れ合える場を育てていきたい」



<エントリー車両>
HKS GT600
BMW Sports Trophy Team Studie Z4 GT3
M’s VANTEC GT40
Team TOYO TIRES DRIFT TRUST Racing Greddy R35RX Spec-D
SUBARU WRX STI NBR Challenge 2013 with DUNLOP
ARAI MOTOR SPORT IMPREZA WRX STI Spec-C


モーターヘッド

モーターヘッド Vol.14
・2014年12月26日 発売
・定価1050円 (本体価格972円)