海外組はプレシーズンの真っ最中だ。本田圭佑のいるミランと長友佑都のいるインテルはギネス国際チャンピオンズカップ、香川真司が所属しているマンチェスター・ユナイテッドもアメリカツアー中だ。

 キレを失っている本田はイタリアメディアからも批判にさらされている。移籍が取り沙汰されている香川も同様。彼ら二人が置かれている状況はかなり厳しいね。個人的な問題だけならともかく、チーム状態も芳しくないのだから余計にきつい。昨シーズン、本田と香川はこれまで日本人選手が破れていない“ビッグクラブ”という壁に挑んだわけだけど、うまくいかなかった。そしてそれは新シーズンに至る今も同じだ。

 W杯での各国のスター選手のプレーを見ても分かるとおり、やはりそこにはまだまだ大きな差がある。興行的な売りを作りたい日本のメディアはまるで二人がスーパースターの仲間入りを果たしているかのような報じ方をしているけど、現実はそうではないね。こういうやり方をしていたら、アイドル好きは生まれても、真のサッカー文化は一向に根付かない。
 
 その国のトップ選手の力は、その国のサッカー文化そのものを表す。残念ながら、日本はまだビッグクラブの壁を破るレベルにないということだ。何より強豪国とは層の厚さが違う。学校単位のチーム制度が頑然と存在し、毎年毎年多くの補欠が生み出されている現状では、この差は埋められない。その国のサッカー協会の仕事は、登録制度で子供からお金を巻き上げることではなく、いかに補欠をなくし、皆にサッカーを好きになってもらうかだ。それが層の厚さを作り、その中から真のスタープレーヤーが生まれる。
 
 これはサッカーだけの問題ではない。世界的な競技人口の少ない野球を除き、日本はどの団体スポーツも苦戦している。それは本当にフィジカル、身体の大小の問題なのか。本田がどうだ、香川がどうだと言うこと以前に、目を向けなければならないことがあると思うね。