●4つのサービスを顧客に提供にわかに活気づく、LTE対応のSIMサービス。激化する市場にまた新たな会社が名乗りをあげた。ワイヤレスゲートはLTE対応SIMカード「ワイヤレスゲート Wi-Fi+LTE SIMカード」の提供を9月1日より開始する。7月1日より、全国のヨドバシカメラ店舗および通販サイト「ヨドバシドット・コム」にて先行予約を受け付ける。ここでは都内で開催された記者説明会の模様をリポートする。

記者説明会の冒頭、同社の池田武弘代表が登壇しサービスの概要を説明した。ワイヤレスゲート Wi-Fi+LTE SIMカードは、月額480円(通信量 無制限、下り最大250Kbps)、月額920円(1GB/ 月、下り最大150Mbps)、月額2480円(5GB/月、下り最大150Mbps)、月額5490円(10GB/月、下り最大150Mbps)の4つのプランで展開する。いずれのプランでも、NTTドコモの「Xi」対応エリアにおいてLTE通信が利用できる。

MVNO事業者が提供するサービスが流行しつつある昨今。ワイヤレスゲートでは、他社との差別化のポイントとして全国に展開する無線LANスポットの多さをアピールする。同社が提供する「ワイヤレスゲート Wi-Fi」は現在、全国の約40,000カ所に拡大中。今回のSIMカードを利用すれば、無料でこれらの無線LANスポットが利用可能になるという。同社ではWi-Fi環境イネーブラー事業や、Fonとの提携などにより、今後ともWi-Fiスポットの拡大を意欲的に行っていく考えだ。

●ワイヤレスゲートの強みワイヤレスゲートではこれまで、データ利用の多い"データヘビーユーザー"をターゲット層としてきた。今後は、データ利用に消極的な利用者層をも取り込み、契約者数の拡大を図る。2020年の東京オリンピックに向けて、訪日外国人を対象にしたサービスの提供も考えているという。

○ヨドバシで契約可

ワイヤレスマーケティング・ラボの原田実氏からは、販売戦略について説明があった。ワイヤレスゲート Wi-Fi+LTE SIMカードは、ヨドバシカメラ店頭での契約手続きに対応した。店舗では専用の販売コーナーを設けるという。このほかヨドバシドット・コムでも契約が行える。今後は、TVコマーシャルやオンライン広告などを通じて、広告活動を積極的に行っていく考えだという。

今回のサービス利用者には、ワイヤレスゲート通信アプリを提供する。同アプリではWi-Fiに優先して接続できるほか、高速通信のチャージ機能、通信状況管理機能、Wi-Fiスポット検索機能などが利用できる。

●競争激化する市場にどう立ち向かうか○価格競争するつもりはない

記者説明会の最後に、質疑応答の時間がもうけられた。MVNO市場において価格競争をしかけるつもりか、との質問に池田氏は「価格競争をしかけているつもりはない。単純にLTEを切り売りすることだけで価格競争を行っていくと、必ず限界が来る」との認識を示した。ワイヤレスゲートではWi-Fiスポットを積極的に拡大し、Wi-Fiの使い勝手を訴求していくことで他社との差別化を図っていく考えだという。

音声通話に対応するSIMカードを提供する予定は、との問いに池田氏は「これから検討していかないといけない」と回答した。一般の消費者向けサービスにおいては、電話番号は必要ないとの認識。しかし法人において、通信費用をトータルで下げるためにMVNOを検討するケースが増えているという。これに対応するため、音声通話のできるSIMカードの導入を検討している。

質疑応答のあと、池田氏は囲み取材に応じた。提供の開始がこの時期になった理由については「マーケットが確実に立ち上がってきたこと、SIMロックフリー端末が広がりつつあること」をあげる。NTTドコモの回線卸価格が今年になって半額になったことも追い風になったとのことだった。

(近藤謙太郎)