あなたが思い描く"お金持ち"の姿とはどのようなものですか?

大豪邸に住み、高級外車に乗り、お手伝いさんがいて、レストランのメニュー表の金額を見ずに注文する。多くの場合のお金持ちのイメージは、このようなものです。

しかし、ここに興味深い調査結果があります。「実はお金持ちは、意外にもあまりお金を使っていない」というのです。

ニューヨーク州立大学のトマス・スタンリーと、ウィリアム・ダンコの調査によると、億万長者の半分は140ドル(約14,000円)以上の靴を買ったことがないことがわかりました。300ドル(約30,000円)以上の靴を買ったことがあるのも、わずか1割でした。また、彼らは235ドル(約23,500円)以上の腕時計を買ったこともないのです。1万5,000ドル(約150万円)以上の時計を買ったことのある人は、たったの1%のみ。それどころか、過半数の億万長者は3万(約300万円)ドル以上の自動車を買ったことがなく、彼らの半分はいわゆる高級住宅街に住んでいないことも判明しました。

これらはすべて、内藤誼人氏の著書『キレイなお札から使いなさい!』で紹介されているもの。彼らお金持ちは、「車は走れば良い」という考え方ですので、無駄に見栄をはったりはしません。また、高級住宅街に住んでしまうと、つい近隣の人と見栄を張り合ってしまうものと知っているので、あえてそういう場所を選ばないのです。

「私たちは、お金持ちというと、高価な家具に囲まれて高級な自動車を乗り回すといったセレブな生活を送っているのはないかと思ってしまう。だが、スタンリーたちの研究によると、決してそんなことはないのである。むしろ、普通の人よりもお金持ちの方が質素であるとさえ、いえるのかもしれない。お金は使えば、なくなってしまう。お金持ちはそのことをよく知っている」(内藤氏)

また、億万長者の多くは、親が倹約家、自身が倹約家、妻が倹約家など、元々、倹約の精神が備わっていると内藤氏は言います。ですので、お金持ちとしてイメージされるような生活を実際には送っているわけではないのです。

彼らは、お金を使わないから、お金持ちとして生活をしている――。

お金持ちを目指すことは良いことですが、自身が実際にそうなった時、大豪邸に住み、高級外車に乗り、お手伝いさんがいて、レストランのメニュー表の金額を見ずに注文する、ということは無いのかもしれません。

【書籍データ】
・『キレイなお札から使いなさい!』内藤誼人著 日経BP社