AppleやGoogleからSIMフリースマートフォンが発売され、日本国内でもSIMフリースマートフォンが正規に使える時代がやってきた。日本では発売されていない海外のSIMフリースマートフォンが国内でも、やっと使えると思う人もいるかもしれない。しかし、それは大きな間違いだ。

国内で使うスマートフォンには、「技適マーク」が必要なのだ。

この「技適マーク」は、「技適(技術基準適合証明)」を証明するマークで、電波法にのっとり、無線通信の混信や妨害しないものであると証明された証だ。メーカーが申請して、テレコムエンジニアリングセンター(TELEC)などの登録証明機関で試験し、合格すれば技適の登録番号が与えられる。

一般的には、フィーチャーフォンやスマートフォンのバッテリーボックスなど、本体に印刷されている。最近では、Xperia Z1(※)などのようにディスプレイ表示する電子版もある。※設定→端末情報→法的情報→画面表示される

つまり、「技適」は申請した機種と通信規格において認定されるので、国内で非認定のSIMフリースマートフォンを使って通信することは、認定外=違法となるのだ。ちなみに、罰則は、一年以下の懲役又は100万円以下の罰金。重要無線通信妨害と判断されると、五年以下の懲役又は250万円以下の罰金となる。

●海外で売られている端末(お土産でもらった端末)は使ってもいいの?
国内で認可済みの機種と同型のSIMフリースマートフォンは、海外などでも販売されている。物理的な仕様が同じ場合は、海外の端末でも日本のSIMで通信ができてしまうケースがある。しかし、国内で総務省の技適マークがない(認可がない)機種で通信を行えば、それは違法となる。

●海外のSIMフリースマートフォンを国内で売っても違法じゃないの
では、国内で通信できないスマートフォンを販売する店舗や通販は、違法にはならないだろうか。これは、国内では使わないことを前提として販売をしているケースが多く、通信をしないで販売するだけでは違法とはならないようだ。

●海外からの渡航者が国内で海外スマートフォンを使っても違法じゃないの
海外からの渡航者が、日本国内において海外で販売されている端末とSIMを使って国際ローミングサービスなどで通信を行う場合は違法でない。もちろん「技適マーク」のない海外端末で、国内キャリアなどと契約したSIMカートを使って通信を行えば、違法となる。

結局のところ、「技適マーク」のないスマートフォンで、国内契約したSIMカードで通信したり、Wi-FiやBluetoothで電波を送受信したりすると、「電波法違反」になる。

法律的には違法となる、海外SIMフリースマートフォンの国内利用だが、この法規制に問題がないわけではない。
ひとつは、違法利用に対する対応だ。現状、多くの人が利用を厳しく取り締まわれているという意識はあまりないだろう。では、利用しても良いのかと言えば、「NO」だ。日常での取り締まりや注意喚起がないため、利用できるのでは?と錯覚しがちだが、通報や事件性があれば、即座に厳しく取り締まわれ、罰則が適用されることは言うまでもないからだ。

また2020年には東京五輪も開催予定ということもあり、現在、日本は海外からの渡航者が年々増えている。2020年までに日本への海外からの渡航者は、今の10倍以上になるとも言われている。現行法で、そうした渡航者に対して、国内での通信サービスを十分に提供できるのかという問題も指摘されはじめていている。