猫も杓子も本田圭佑だ。ミランへの入団会見はプロモーションビデオまで用意される厚待遇。日本でも生中継され、日本中のサッカーファンの注目を集めた。日本のサッカー業界にとっては待ってましたとばかりのスター誕生だろう。

それは低迷しているミランにとっても言えることかもしれない。10番のユニフォームは発売初日で5000枚売れたという話もあるし、日本からの放映権料、スポンサー収入等、挙げればキリがないほど、いろいろな種類のお金が既に動いている。ミランにしてみれば、ゼロ円で獲得した選手でいくら儲けるか、というチャンスだ。そのビジネス的に言えば、この移籍はもうこの時点で成功だね。
 
様々なビジネス的要素があるにしろ、本田はともかくミランでプレーするチャンスを得た。ビジネス面ではなく、今度はピッチの上でどれだけのインパクトを残せるか。移籍金のかかる8月の時点ではカカーに勝てなかったわけだからね。本田が入って、低迷しているチームが立ち直り、CL出場権を獲得するくらいまでの結果が出れば、この移籍がすべての面で成功したと言えるだろうね。

イタリアのメディアは日本とは比べものにならないほど厳しい。その中であのキャラクターを貫き、雑音を結果で黙らせることができるか。その挑戦には単純に期待しているよ。

本田のミラン移籍狂騒曲を見て、ふと寂しくなるのがJリーグのストーブリーグだ。ストーブの灯油がないのかな、というほどに、あまりに世間から注目されていない。その実質も、Jリーグの中でグルグル動いているだけで、注目に値するサプライズもない。広島から選手を獲ってくる浦和のやり方も、なんだかドメスティックだよ。これがJリーグのトップレベルだというのだから嘆かわしい。これでサポーターはワクワクするのかな。
 
一方で、例えば長谷部がニュルンベルクに移籍すると、日本では大きなニュースになる。ニュルンベルクをJリーグのチームで例えるとどの辺なのかな。とにかく海外というだけで盛り上がり、羨望の眼差しを向けてしまっているうちは、いつまでたっても真の意味での強豪国にはなれない。メディアが作り出す海外ブランド、日本人が抱いてしまう海外コンプレックス。この2つからの脱却を目指したいね。