欧州のカップ戦(チャンピオンズリーグとヨーロッパリーグ)の過去5シーズンの戦績をもとに集計されるUEFAカントリーランキング。分かりやすく言えばリーグランキングは、各国リーグの最新の優劣を知る上で、欠かせないデータだと言える。

 そのランキングに今季、異変が起きた。07〜08シーズン以来、5シーズン首位の座を守ってきたイングランドが、スペインにその座を明け渡したのだ。さらに言えば、イングランドは3位ドイツにも迫られている。

 何年か前まで、CLはプレミアの4強(マンU、アーセナル、チェルシー、リバプール)とバルセロナの争いだった。スペイン勢は旧UEFA杯の戦績で、イングランドに対抗していたが、欧州を席巻していたのはプレミア勢だった。

 その勢いに翳りが差している。昨季、チェルシーがCLを制し意地を見せたものの、その他のクラブは早々と姿を消した。イングランド勢としての力は失われてしまっている。首位の座を奪ったスペインは、バルサ、レアル・マドリーの2強に加え、今季、バレンシアとマラガが好調。現在、マドリー以外の3チームは、CLの各グループで首位に立っている。

 スペインは2強(バルサ、マドリー)以外のクラブのCLでの成績が、ランキングの浮沈のカギを握っている。かつて首位に立っていた理由は、バレンシアとデポルティーボの健闘にあった。2強以外が頑張ると、リーガエスパニョールは俄然面白くなる。マンネリ気味だったCLにも新たな風が吹く。

 UEFAカントリーランキングは、当然のことながら、CL、ヨーロッパリーグの出場枠にも大きな影響を与える。90年代、ランキング1位を守り続けたイタリアは現在4位。CL出場枠も4から3に減ってしまった。すなわち、そこには競争原理が働いている。代表チームのみならずリーグという集団にも順位付けができているのが欧州サッカーの特徴だ。

 それがアジアにはない。各国リーグの優劣が、代表チームの優劣のように顕在化しない。代表チームの順位を気にする日本人は多いが、Jリーグの順位を気にする日本人は少ない。そのバランスの悪さが、日本のサッカー界にはある。代表チームの敗戦にはひどくガッカリするが、Jリーグ勢のACL(アジアチャンピオンズリーグ)における不成績にはひどく鈍感だ。ナショナリズムを働かせる様子はない。Jリーグのレベルが、代表チームのそれのように右肩上がりにはない理由の一つだと思う。ACLで勝ち上がれない理由でもあると思う。ご存じの通り、今季も出場した4チームは、1チームもベスト8に出場することができなかった。

 それでもACLの枠が減ることはない。4枠は維持される。

 出場枠は、各国リーグのスタジアムの平均的な収容人員、観客動員数、1部リーグのクラブ数などで決まる。組織が整った国に有利な仕組みになっている。欧州のようなフェアさはない。

 Jリーグ勢はそのぬるま湯の中にどっぷり浸かっている。代表チームとのバランスは乱れるばかりだ。その結果、Jリーグはすっかりドメスティックなものになっている。気にしているのは国内の順位のみ。Jリーグ勢がACLで早々に敗れても、そのことについて嘆く人はほとんどいない。

 アジアリーグランキングなるものは、早々に作られるべきだと僕は思う。日本勢が早々に姿を消せば、出場枠も自動的に減る仕組みでなければ、健全さは保たれないと思う。

 代表チームのアジア枠(4.5)もユルユルだし、ACLの出場枠も、いくら不成績でも4枠が維持される日本の現状は、世界的に見てかなり甘い。それに伴う危機感の欠如こそが、日本サッカーをつまらなくしている大きな原因だと思う。

 現在J1、J2で繰り広げられている降格争い、昇格争いは確かに面白いが、欧州にはそれと同じような緊張感が国家間にも働く面白さがある。外からの刺激も働く仕組みが構築されている。欧州のこの何とも言えない立体感、複合性に、僕は羨ましさを感じてしまうのだ。