清武弘嗣、宇佐美貴史や乾貴士といった日本人選手たちが、大きな注目を集めている。宇佐美の4人抜きゴールも乾の個人技も、確かに素晴らしい。身体が大きく、鈍重なドイツ人DFにとって、彼らのような俊敏な日本人選手はやっかいだろう。香川もそうだったけど、こうした光景はブンデスリーガでいまやよく見るものとなっているし、日本での報道は日に日に過熱するばかりだ。

こうした状況になっていつも思うのは、必要以上に騒ぎすぎてはいけないということだ。ブンデスリーガ自体のレベル、所属しているチームのレベル、それから対峙しているDFの質から考えて、どうなのか。海外リーグだからといって、無条件で喜んでいるようではダメだ。

特に報道する側にその問題を感じるね。スポーツニュースで流れるのは、日本人選手の活躍シーンばかり。限られた時間のハイライト映像だけで、すべてが完結してしまっている。そもそもどんな試合だったのか、そのチームが現在何位なのかは伝えられない。売れるものしか報道しない、視聴率至上主義というスタンスは、スポーツ報道の本質からかけ離れてしまっていると感じるね。
 
一番残念なのは、Jリーグの優勝争いより、日本人選手が所属する海外リーグの下位チームのゴールのほうが多く取り上げられているという現実だ。「海外挑戦」というワードばかりがクローズアップされているけど、もうそういう時代は終わりにすべきではないか。

Jリーグが海外リーグと肩を並べ、国際的に有能な選手たちの選択肢に日本でプレーするという選択肢が浮かぶ。そういう環境を目指して、選手たちはもちろん、メディアもファンも進んでいかなければならない。

Jリーグで育ち、現在海外で活躍している選手たちのプレーを見ていると、それが可能だとの思いがますます強くなるし、同時に観る側の意識改革も必要だと痛感しているよ。