インテルにとって苦難の2012年ではあるが、一人だけ順位のトップをいく者がいる。最年少の指揮官、アンドレア・ストラマッチョーニ監督のことではない。FWディエゴ・ミリートのゴール数だ。

得点王ランクでは、FWズラタン・イブラヒモビッチ、FWアントニオ・ディ・ナターレ、FWエディンソン・カバーニという3人が前にいる。だが、2012年に入ってから、ミリート以上に得点を挙げた者はいないのだ。ミリートは2012年に13ゴールを決めている。イブラヒモビッチは11ゴールだ。

1月のマーケットまでは、ミリートが母国アルゼンチンのラシンに移籍し、「黄金の年金生活」を送る可能性を想像する者もいた。だが、2012年になって真のゴールゲッターに戻ったことで、彼に対する疑念はすべて打ち消されている。

イブラを抜く得点を挙げたのは、新生インテルにとっての初戦となった前節ジェノア戦だ。ミリートはヘディング、守備ラインを抜け出しての単独突破、そして何よりPKで、ハットトリックを記録した。最近のミリートはPKを2度外しており、PKが新たなタブーになりつつあったのだ。

10-11シーズンのケガを乗り越え、ゴールが決まらなかった秋から冬のミスも乗り越えたミリートにとって、PKが新たな呪いとなっていたのである。だが、ジェノア戦で決めたことで、彼はPKキッカーの役割も取り戻した。

2012年に13ゴールを挙げているミリート。今季のリーグ戦での総得点は17ゴールだ。3冠を達成したインテルでの初年度に挙げた22ゴールに近づいている。ブックメイカーもミリートを信じており、得点王争いにおける彼のレートが下げられた。イブラヒモビッチが有利とはいえ、再びジェノア戦やパレルモ戦のような試合があれば…。

そう、今季のミリートは“まとめ取り”をしている。パレルモ戦で4ゴール、ジェノア戦で3ゴール、第2節のパレルモ戦でも2ゴール、パルマ戦(第17節)で2ゴール。わずか4試合で11ゴールを記録しているのだ。残りは8試合。さらに、ストラマッチョーニ監督が就任したことで、ミリートは以前よりゴールチャンスを手にするはずだ。

クラウディオ・ラニエリ前監督の下では、MFたちと10メートルほど離れることが多かった。だが、ストラマッチョーニ監督のプランでは、そういうことはないはずだ。ミリートはジェノア戦の先制点のようなボールを受け取れるように願っている。インテルにとっても、2012年の苦難が少しでも和らぐようにと…。