国内ビーチバレーJBVツアーは12日、東京都内のホテルにて「JBVツアーアワード2011」を開催し、男女のグランドチャンピオン(年間総合優勝)、MVPなどの表彰が行われた。

 ツアーポイント(全7戦)によって争われたグランドチャンピオンの座には、今季、初優勝を含め2勝を挙げた井上真弥・長谷川徳海組が初めてついた。井上は「8年、ビーチをやってきて、初めてチャンピオンになれた。とても嬉しい」と話した。

 女子グランドチャンピオンは田中姿子・溝江明香組。年間3勝、2位2回と安定感を見せ、同じ日本代表の浦田聖子・西堀健実組を抑え、2年連続の総合優勝に輝いた。田中は「今年は震災の影響で大会が開催されるかもわからなかった。その中で自分のできることをしてきた」と話す。

 また、溝江はプレス投票によるMVPにも選出。昨季の新人賞に続き、今季も個人賞を獲得。「貰えると思っていなかった。昨年は(田中)姿子さんに引っ張ってもらった。今年は私もしっかり引っ張っていこうと思っていた。それで選ばれたのなら光栄です」と喜びを語った。

 男子MVPには、ツアー史上初の外国人選手として第2戦に優勝。実力とパフォーマンスでツアー前半戦を盛り上げたケーシー・パターソンが選ばれた。

 浅尾美和は特別賞を受賞。「最後の2大会は決勝までいけて嬉しかった。途中でペアが替わったりと経験したことがない一年だったが、色々な人と組んで勉強になった」と話した。
 
主な表彰は次の通り。
□グランドチャンピオン
  男子)井上真弥・長谷川徳海組(フリー)
  女子)田中姿子(エコ計画)溝江明香(産業能率大)組
□MVP
  男子)ケーシー・パターソン(WINDS)
  女子)溝江明香(産業能率大)
□新人賞
  女子)宮川紗麻亜(2Y&A)
□特別賞
  浅尾美和(エスワン)
□敢闘賞
  西村晃一(WINDS)

 あの日から9ヶ月と1日。

国内ビーチバレーJBVツアーの今シーズンはアワードをもって恙なく幕を閉じたが、他のスポーツ、興行と同じく、いやそれ以上に震災の影響を受けたように思う。

 全体的な観客の減少。5月に行われた開幕戦のお台場海浜公園(東京都)は、立地、アクセスの良さもあり、最も観客が集まる大会であったが前年に比べ30%の減少。他にも要因はあるとは思うが、大きな打撃を受けた。

 お台場では会場を訪れるお客さんも少なかったが、整備された砂浜など周辺の公園内などを散策する人影もまばらだった。震災により余暇、趣味などに対する人々の考えの変化もあったが、観る人にとっても「ビーチ」の名の通り、海岸で行なわれるスポーツへの心掛かりは少なからずあっただろう。JBVツアーが東日本で開かれることはなかったが、宮城県をはじめ東北各地のビーチバレーコートは壊滅的な影響を受けたと聞く。だからといって「ビーチ」バレーである以上、海岸からは離れられない。ある意味、競技の危機だったのかも知れない。しかし、ツアーは全戦開かれ、余震の影響もなく無事に閉幕した。

 そのことに対し、この日、表彰式の檀上に上がった選手たちの口からは一様に感謝の言葉が聞かれた。震災で友人を亡くした者、直後に海外遠征に行くことをためらった者、この状況下でビーチバレーをすること、スポーツをすることに悩んだ者、個々には様々だったが、ファン、関係者、友人に支えられてツアーを終えたことに謝意を表していた。

 昨年に続き、ブラックタイ、イブニングドレスの選手達が並び、ファン、関係者も集った盛大な表彰式だった。が、昨年と違った気色に見えたのは私だけではないだろう。

(取材・文=小崎仁久)


■写真ギャラリー
溝江明香
浅尾美和
ビーチバレー