国内最大級のゲームイベント「TOKYO GAME SHOW 2011」に、SNSサイト「GREE」を運営するグリー株式会社が初めて出展し、ゲームメーカー各社のなかで最大級のブースを構えた。同社の代表取締役社長・田中良和氏は初日となる2011年15日に講演を行い、あるデザインのゲームが流行ったときには「それと同じようなものを作りまくるべき」という、自身のゲームデザイン観を語った。

 田中氏は26歳のとき1人でSNSサイト「GREE」を作り、1ヶ月で1万人の会員を集めた。その後、グリーを設立し、社長に就任。「GREE」の会員数を全世界で1億4000万人にするまで成長させた。「GREE」をはじめとするSNSサイトでは、ソーシャルゲームとよばれる他ユーザーとのコミュニケーションを軸としたゲームが数年前から人気を博している。

 このソーシャルゲームについて、「似たようなゲームが増えている気がするが、新機軸のソーシャルゲームは今後、登場するのか?」と問われた田中社長は、「GREE」でも当初は釣りやペットを扱ったゲームが流行っていたものが、現在では戦国時代を扱ったものが中心になっていることを挙げ、「ゲームデザインというものは徐々に移り変わっていく」としながらも、

「重要だと思うのは、あるゲームデザインが流行ったときには、それをコアにしていろんなモチーフのゲームを作るべき。作り手は飽きてしまうので、『新しいものを』という考えになりがちだが、ユーザーとしては『まだまだ同じものが欲しい』という状態である。そういうとき(作り手)は早く変化しすぎずに、(ユーザーが)いま欲しいと思っているものを提供するべき」

との考えを示した。また、「子供の頃、アニメ『魔神英雄伝ワタル』が大好きだったが、作者は次に全然別のアニメを作って大コケした。けれどその後、『魔神英雄伝ワタル2』が作られ、爆発的にヒットした。作者はのちに雑誌で『次のアニメにいくのは早すぎた』と回想されていた」という話を引き合いに出し、

「それと同じで、ある流行っているものがあったら、同じようなものを作りまくるべきだと思う」

と語った。

(土井大輔)