インターネットオークション『ヤスオク』に関して、当編集部は過去に何度か記事にしてきた。数十万円する家電が数百円で落札されることもあり、出品者が『ヤスオク』運営者のみであることから、「サクラが確実にいるのではないか?」と疑ってきたのだ。入札するには入札1回につき1枚75円のコインを消費しなくてはならず、コインは入札前に『ヤスオク』運営から購入しておく必要がある。

つまり、たくさん入札させておいて落札をサクラがするという流れができれば、商品を送らなくてもいいし、入札にかかったコインの分だけ『ヤスオク』運営に儲けが出る。そういうことから、「運営が出品して運営(サクラ)が落札しているのではないか?」という疑念もあったのだ。

しかし、よくよく考えてみると『ヤスオク』のシステムはサクラを使わずとも儲けが出るシステムであることがわかった。とはいえ、「サクラがいなくても儲かるシステムだがサクラがいればもっと儲かるシステム」であるため、サクラが100パーセントいないとは言い切れないのであしからず。とりあえず、『ヤスオク』のシステムを簡単に羅列して紹介しよう。

<ヤスオクのシステム>
・出品者はすべて『ヤスオク』運営(一般ユーザーは出品できない)。
・1回の入札に1枚75円のコインが必要(2回入札すれば150円かかることになる)。
・入札に必要な1枚75円のコインを前もって購入しておく必要がある。
・1回の入札で1円や数十円しか値が上がらない(入札額を入札者は決められない)。
・落札した品物はアマゾンなどのショップサイトから直接届く(例外もあるかもしれない)。

『ヤスオク』は1回につき75円の入札費用がかかるものの、入札しても1円や数十円しか値が上がらない。高級液晶テレビが1円スタートしたとして、100円の価格になるまでは100回の入札が必要となる。100回入札されても100円、1000回入札されても1000円なわけで、ユーザーからすれば「液晶テレビがこんなに安い!」という価格帯(ウハウハな心理状況)が長期間続くわけだ。そんなに安い価格なのだから、オークション時間終了間際になると入札が殺到。しかもシステム上、終了間際に入札があるとオークション終了時間が延長されるため、なかなかオークションが終わらない。

そのあたりは違法でもルール違反でも何でもないので『ヤスオク』運営が悪いことをしているわけではない。注目して欲しいのは、1000回入札しても1000円という部分だ。1回の入札につき75円がかかるわけで、1000回の入札で『ヤスオク』運営は75000円を儲けている事になる。たとえば定価150000円の高級液晶テレビが4000円で落札されたとすると、4000回の入札があったことになり『ヤスオク』運営は300000円の儲けを得ていることになる。そこから150000円の液晶テレビ代金を引いたとしても150000円の利益となる。よって、サクラがいなくても商売は成り立つ。

当編集部は調査のため、とことん『ヤスオク』で入札をしてSONYのウォークマンを4000円ほどで落札したことがある。定価が23000円ほどなので、1円オークションではなかったもののかなりの利益を『ヤスオク』運営が得たものと思われる。あえて『ヤスオク』がサクラを雇う必要はないのだ。しかし、サクラがいたほうが『ヤスオク』の商売をスムーズに展開させることができるのも確かだ。入札が少ない赤字状態で(コインがあまり消費されない状態で)商品が落札されそうになったら、サクラが入札を繰り返してユーザーが飛びついてくるまでオークションを終了させなかったり、赤字状態のときはみずから商品を落札して一般ユーザーの落札を防いだりすることも、やろうと思えば可能である。

とはいえ、それは憶測の域を出ない。それに、ユーザーや当編集部が実際に落札できていることを考えると、低価格で落札できるというのも事実なのだ。「どう考えてもサクラがいるだろ!」という落札もあるのは事実だが、憶測の域を出ない以上は、「落札できた人もいる」という事実を信じて低価格落札を目指して入札していくしかなさそうだ。ただ、その仕組みが違法ではないかという声もあるのは事実。このオークションシステムに関して言及する専門家が出てくれば、さらなる議論を呼びそうである。

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