今月12日、米ミシガン州の警察署が“現職の警察官”による窃盗事件をFacebookに公表した。投稿には容疑者の写真も一緒に添えられていたが、そこには1匹の警察犬が写っていたのだ。この警察犬はある警察官の食べかけのサンドイッチをこっそり食べてしまったと言い、ユーモア溢れる投稿が反響を呼んだ。米メディア『Fox News』などが伝えた。

米ミシガン州のワイアンドット警察署が今月12日、署内で発生した現職の警察官による窃盗事件をFacebookに公表した。投稿には「盗みは犯罪であるばかりでなく、道徳的にも間違っています。警察官は仕事に就く前に宣誓をしなければならず、その宣誓には“人の所有物を守らなければならない”なども含まれています。こうした宣誓を行ったにもかかわらず、ワイアンドット警察署の現職の警察官が窃盗容疑で捜査されていることを報告するのは悲しいことです」と綴られており、容疑者として1匹の警察犬の写真を添えていた。

投稿によると今月10日、同警察署内の休憩室でランチにサンドイッチを食べていたケイド・バーウィグ警察官(Cade Barwig、28)は応援要請を受け、手に負えない被疑者に対応するため食べかけのサンドイッチをそのままにして休憩室を後にした。しばらくして休憩室に戻ってきたケイド警察官は口元をぺろぺろと舐める警察犬の“アイス(Ice)”の姿を発見し、置いていたはずのサンドイッチが無くなったことに気付いたという。

さらに投稿には、このように書かれていた。

「アイス警察官は黙秘権を行使しており、全くと言っていいほど捜査に協力的ではありません。過去には近くにあったゴミ箱を漁っていたことがあり、他にも通りすがりの同僚の手から食べ物を奪ったことがあると告発されています。私たちはこの事件の捜査の進め方について、Facebookのフォロワーの意見を参考にします。」

アイスはイタズラが大好きなようだが11年間も警察犬として働いてきたベテランであり、ケン・グロート巡査部長(Ken Groat)は「アイスは1キロ以上のヘロインを民家の壁の中から発見したり、車を窃盗し逃走した容疑者や潜伏していた複数の容疑者の発見などに貢献してきました」とこれまでの活躍ぶりを明かした。

警察犬のイタズラに対して真面目な文面を綴ったユーモア溢れるこの投稿は多くの人の目に留まり、今月27日の時点で8700件以上のコメントが寄せられている。コメント欄には「根拠の弱い証拠しかないようなので、無罪と推測します」「証拠が出ない限りは無罪でしょう」「必要ならこの警察犬の弁護人を無料で引き受けますよ」「歯型が合わなければ無罪ですね」「無罪にならないなら私が保釈金を支払います」などアイスの無罪を主張する声が続出した。

多数のフォロワーからコメントを受け取った同警察署は、今月18日に新しい投稿でアイスの処遇を明かした。そこには「多くの弁護士がアイスの弁護を申し出てくれています。また私たちは、これ以上の捜査を続けたり告発を行うのであれば大規模な抗議活動を行うと脅されています。市民の多くはアイスが有罪であるとは思っていないですし証拠の映像もありませんので、アイスが内部規律や刑事責任に問われることはないでしょう」と記されており、アイスの今後を心配していたフォロワーたちを安心させた。

また今回の件が話題を呼んだことにより、地元のレストラン「Lunch Wyandotte」がアイス専用のサンドイッチを作って届けてくれたという。もちろん警察官たちへの差し入れのサンドイッチも一緒に届いたそうだ。

ケイド警察官は「普段は私から被害者に何を盗まれたのかなどを尋ねていますが、被害者の立場になると盗まれたものは二度と戻ってこないかもしれないと気付きましたね。もちろんアイスのことは許しますよ。アイスはこれまで市民のために貢献してくれたので、サンドイッチを食べるに値すると思います。ただ私のサンドイッチじゃなくて他のサンドイッチの話ですけどね」と笑って明かした。

警察犬といえども今回のように犬としてお茶目な一面を持ち合わせているようで、2017年には公式写真の撮影を試みるも大好きな“相棒”にキスが止まらない警察犬の姿を捉えた写真が話題を呼んでいた。

画像は『Wyandotte Police Department - Michigan 2023年1月12日付Facebook「Stealing is not only a crime but it is morally wrong too.」、2023年1月18日付Facebook「UPDATE Dozens of attorneys have offered to defend Ofc Ice」』のスクリーンショット
(TechinsightJapan編集部 iruy)