埼玉県内のジビエ(野生鳥獣)料理店が2020年2月10日、射殺したレース鳩の写真をSNS上に投稿し、狩猟家らから批判が相次いでいる。

レース鳩は、鳥獣保護管理法で定められた狩猟鳥獣の対象外だ。日本鳩レース協会はこのハトの飼い主特定を進めており、県も調査に乗り出す。

「同じハンターとして強い憤りを覚えます」

投稿を見つけた、狩猟に携わる千葉県在住の30代男性によれば、写真は店のSNSで2月10日に投稿された(現在は削除済み)。

写真は2枚添付され、猟銃と並んだハトなどの死体と、下処理したハトの姿が確認できる。脚環がついたレース鳩も1羽写っていた。投稿には「鳩鴨スズメ撃ってきました!!美味しく調理して出します!」と書き込んであった。

前述の男性はJ-CASTニュースの取材に、「狩猟対象のキジバトと、ドバト(カワラバト)の判別を誤るなんてありえません。ましてやレース鳩の脚環がついているのに、何の疑問も抱かなかったのか不思議でしょうがありません。同じハンターとして強い憤りを覚えます」と話す。

鳥獣保護管理法では、野生のハトはキジバトのみ狩猟できる(諸条件あり)ものの、カワラバトを品種改良したレース鳩は対象外だ。

男性は「レース鳩の飼い主様への誠実な対応と、狩猟者としてルールを正しく守り、周囲への配慮もできないのであれば銃は持つべきではないと思います」とも説いた。

日本鳩レース協会は13日の取材に、会員からの報告で投稿を把握したといい、「レース鳩で間違いない」と断言。飼い主の特定を進めており、今後の対応は飼い主と相談したいとする。

埼玉県自然環境課は同日の取材で、「当然レース鳩を撃っていいという法律はない。掲載されていた写真やコメントを見る限り、鳥獣保護法に抵触する疑いがある」との見解を示し、「今後適切に対応していく」と述べた(20日の再取材でも、同じ趣旨の回答だった)。

従業員「持ち主さんにも申し訳ない」

店の従業員は20日、取材に応じ、写真は知り合いの猟師が撮影したものだと明かした。レース鳩の狩りと処理はこの猟師が行ったが、店の宣伝のために偽ってしまったという。

従業員によれば、下処理済みの肉を調理の勉強のために仕入れ、客には提供していない。猟師の話では、ハトの持ち主はまだ見つかっていないとする。

現在、警察や保健所から聞き取りを受けており、「レース鳩に対する勉強不足で、ちゃんと狩猟をしている方々のイメージを悪くしてしまいました。持ち主さんにも申し訳ない気持ちです」と陳謝。聞き取りなどがひと段落し次第、謝罪文の掲載を予定しているとした。